カトリーヌ・ドヌーヴ
Marie
パリの下町モンマルトルを舞台に、美しい踊子のはかない夢を描くコメディ。製作はクロード・ベリ、監督・脚本は新人のラズロ・サボ、撮影はジャン・ピエール・ボー、音楽はカール・ハインツ・シェーファーが各々担当。出演はカトリーヌ・ドヌーヴ、ベルナデット・ラフォン、ユベール・デシャン、ワルター・キアーリ、ステファーヌ・シャンドールなど。
美しい二人の娘、マリー(C・ドヌーブ)とポリーヌ(B・ラフォン)は、この界隈で知らぬ者とてないセクシーな踊子。人気絶頂のこのコンビ、ヒット・ナンバーの“ジグ・ジグ”を歌えば男たちはため息をついて聴き入ってしまう。ちょうどその頃、四人組の賊が元大臣ラフィオの妻を誘拐、早速この犯罪事件を担当するブルイエル刑事(S・シャンドール)が動き始めた。そうしたパリの片隅ピガールの歓楽街でマリーとポリーヌの描く夢は、いつかスイスの雪山に豪華な山荘を建てること。そのために二人は“にわか娼婦”になった。マリーとの恋に破れてなお恋こがれて、立派な医者から呑んだくれになったワルター(W・キアリ)にしてみれば、こんなことは耐えられない。ラフィオ元大臣がマリーのお客だったこと、ワルターの挙動などから、ブルイエル刑事は早速マリーの身辺を洗い出しにかかった。その誘拐事件はどうやらこのクラブの伴奏バンド・マン四人の仕業らしく、その首謀者はポリーヌの恋人。一刻も早く大金を手にしたかったばかりに、ポリーヌはマリーに内緒で仲間に入ってしまったのだ。そのポリーヌの挙動が変なのでマリーがその後をつけてみれば、ギッシリ札束のつまったトランクを持っている。この二人の争いに割って入ったのが四人組の犯人。マリーはたちまち捕えられて失神、そこへ置き去りにされた。やがて気をとり戻したマリーは富豪の老人、実は元警部の私立探偵ジャン(H・デシャン)と共に、ラフィオ夫人が監禁されていた船を発見する。こうして犯行がバレてしまったバンド・リーダーのカルフォンは、クラブの舞台にガソリンをまき散らし、自分も油をあびて全身火だるま。マリーはポリーヌを連れて逃げたが、恋に狂ったワルターがいきなりピストルを発砲。マリーを狙った銃弾が、ポリーヌの胸を射ち抜いた。その場にいあわせたジャンがワルターを射殺して事件は解決した。
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