アルド・ファブリッツィ
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十九世紀末葉から今世紀初頭のイタリア風俗を、当時の作家の短篇その他で描くオムニバス的エピソード映画。「ファビオラ(1948)」のアレッサンドロ・ブラゼッティが監督する一九五二年作品。脚本はブラゼッティ以下、オレステ・ビアンコリ、ヴィタリアーノ・ブランカーティ、スーゾ・チェッキ・ダミーコ、ブルネロ・ロンディ、ヴィニチオ・マリヌッチら。撮影は「自転車泥棒」のカルロ・モントゥオーリにガボール・ポガニー、音楽は「終着駅」のアレッサンドロ・チコニーニが担当する。「平和に生きる」のアルド・ファブリッツィと「自転車泥棒」のエンツォ・スタヨーラ、ピナ・レンツィがエピソードのつなぎに出演する他、「第一話」はローマ・オペラ劇場バレエ団のアルバ・アルノーヴァ。「第二話」はカミロ・ボイト原作で「荒野の抱擁」のアンドレア・ケッキとアルバ・アルノーヴァ主演。「第三話」はグイド・ノビリ原作、子役のマウリツィオ・ディ・ナルドとジェラルディーナ・パリネロをめぐって「終着駅」のパオロ・ストッパが共演。「第四話」はルイジ・ピランデルロの三幕戯曲の映画化で、「シーラ山の狼」のアメディオ・ナザーリと「ガラスの城」のエリザ・チェガーニが主演。「第五話」はバルバラ・フロリアンとエリオ・パンドルフィが出演する懐しの歌謡集。「第六話」はエドアルド・スカルフォリオの喜劇を原作にヴィットリオ・デ・シーカと「夜ごとの美女」のジーナ・ロロブリジーダが主演する。
ローマの町角。古本屋の親爺(アルド・ファブリッツィ)のひろげる古い書物の間から今は昔、二十世紀初頭の風景が浮び上る……。 〔第一話・バレー・エクセルシオル〕アルバ・アルノーヴァが踊る十九世紀文明の讃歌。しかしその平和の夢も今はいずこ。 〔第二話・あいびき〕カミロ(アンドレア・ケッキ)は恋人である人妻のマティルデ(アルバ・アルノーヴァ)に二カ月も逢っていない。今日彼女は久しぶりに汽車に乗ってやって来たが、馬車で田舎のホテルに着くまでマティルデは彼をじらすばかり。ホテルに着くとカミロはつまらぬことからやきもちをやきはじめ、痴話喧嘩の果て、とうとう時間が来て彼女は帰ってしまった。 〔第三話・初恋〕九才の少年グイド(マウリツィオ・ディ・ナルド)は、隣家に引越して来た美少女フィリ(ジェラルディーナ・パリネロ)から突然キスされてびっくりした。少年は、子供はどうして生れるのと母に訊き、キスすると生れるのよと教えられたことが大きな衝撃になった。少女の誕生祝いに秘かに家を脱け出して参会した彼は、帰宅して父親(パオロ・ストッパ)からひどく叱られ、翌朝、彼は少女に挨拶する間もなく避暑に行かなければならなかった。大人たちは誰も彼の悩みを知らなかったろう。 〔第四話・愛と死〕人妻のジュリア(エリザ・チェガーニ)は、夫(アメディオ・ナザーリ)を愛しながらも彼があまりに仕事一点張りなことから、弁護士セルラ(R・ルーピ)と過ちを犯した。或夜、二人は接吻の現場を夫に発見されかかり、果してみつかったかどうか大きな疑惑のうちに夫を旅に送り出した。旅から帰った夫は、全く平静に、妻に向って他処の妻の不義事件を話しはじめた。真綿で首をしめるようなその執拗な話しぶりに堪えきれず、ジュリアはついに自ら罪を告白してしまった。子供に一目合わせてほしいという彼女の願いもききとどけられない。「ではお別れしましょう」と一言、彼女はピストルで自らの命を断った。 〔第五話・歌のしおり〕ナポリ、ヴェニスを中心にした一九〇〇年時代の流行歌集。--「禁断の曲」「しばしの恋」「青色のワルツ」「くちづけを」「サンタ・ルチア」「トリポリ、恋のよき里」等が若い二人(バルバラ・フロリアンとエリオ・パンドルフィ)の恋愛風景をバックに歌われる。 〔第六話・美の天国〕ナポリの軽裁判所。官選弁護人ピエトロ(ヴィットリオ・デ・シーカ)が開廷間際に担当させられた事件は、マリアントニア(ジーナ・ロロブリジーダ)の姑殺しであった。嫁いびりに耐えかねてねずみ退治の毒薬をマカロニにまぶして食わせたのだ。被告席のマリアントニアは豊かな胸をむき出しにしてピエトロの胆を冷したが、裁判が進むにつれて、この女は村のあらゆる男性に結構な祝福を与えていたことが判明した。ピエトロはここぞと、彼女こそ現代のフリーネ、イタリアの美の権化だと弁論。この熱弁と被告の立派な胸は、裁判長以下法廷の全男性に彼女の無罪を決定させるに充分であった。
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Kiosk's Keeper
Her Son
Prima Ballerina
Camillo
Mother
Father
Guido
Filli
Andrea
Giulia
Serla
Man
Woman
Mariantonia
監督、脚本
脚本
脚本
脚本
脚本
脚本
脚本
製作
撮影
撮影
音楽
美術
美術
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[c]キネマ旬報社