ツァラー・レアンダー
Katarina Alexandrowna Murakina
「白痴(1921)」「故郷」などのカール・フレーリッヒが一九三九年に監督した作品で、チャイコフスキーと美貌の婦人との悲恋を描くもの。ゲオルク・ヴィットゥーンとジーン・ヴィクターのストーリーよりゲザ・フォン・ツィフラが脚色、フランク・ティースが台辞を担当した。撮影は「双児のロッテ」のフランツ・ワイマイヤー、音楽は「罪ある女」のテオ・マッケベンの指揮でベルリン国立歌劇管弦楽団が演奏している。主演者は「故郷」のツァラー・レアンダーで、「二つの世界の男」のアリベルト・ヴェッシャー、ピアニストのハンス・シュテューヴェ、マリカ・レック、レオ・スレザークが共演する。
一八六五年、帝政時代のモスクワ。今は大実業家の妻であるカタリーナ(ツァラー・レアンダー)は、ある夜仮装舞踏会で忘れ得ぬ恋人チャイコフスキー(ハンス・ステューヴェ)に会った。貧苦に喘ぎ楽譜も売れぬ彼はカタリーナの前から身を引いたのだったが、久しぶりの邂逅に二人の心は燃えた。二人は会場を抜出してチャイコフスキーの家へ行き恒らぬ愛に酔った。その帰途カタリーナはチャイコフスキーの唯一の理解者フンジンゲル教授に会い、チャイコフスキーには絶対秘密で、彼の楽譜出版費を出そうと申出た。翌日、フンジンゲル教授とともに訪れた楽譜商グリコフから月千ルーブルで新作全部を出版するといわれ、演奏会の契約までして、チャイコフスキーの気持はすっかり明るくなった。そして金の出所もしらずにカタリーナにムラーキンとの離婚を勧めるのだった。演奏会の夜音楽批評家グリコフからカタリーナのことで嫌味をいわれたチャイコフスキーは憤然として決斗を申込んだが、グリコフはムラーキンを訪れて二人を中傷し、彼とチャイコフスキーを斗わせようとした。ムラーキンの訪問をうけたチャイコフスキーは突磋の機転で居合わせた踊子ナスターシャを婚約者として紹介し、危機を脱れた。しかし、そのためナスターシャと結婚式をあげねばならぬ破目になったが、式が終った夜、彼は家を飛出してフンジンゲル教授を訪れた。教授から天才の恋人は芸術であるとさとされ、彼は一切をふりすてて音楽に精進した。世界各国を廻るうち彼は次第に成功を収め、第六交響曲「悲槍」をたずさえてモスクワに帰った。そして、既に離婚していたカタリーナと結ばれた。晴れの演奏会の日、チャイコフスキーは「悲愴」の演奏半ばで流行中のコレラに倒れ、カタリーナに看とられながら一生を終えた。
Katarina Alexandrowna Murakina
Michael Iwanowitsch Murakin
Peter Iljitsch Tschaikowsky
Nastassja Petrowna Jarowa
Professor Maximilian Hunsinger
Prophyr Philippowitsch Kruglikow
Iwan Caesarrowitsch Glykow
Gruda Sabowitsch Lakritzki
Dmitri Pawlowitsch Miljukin
Stepan
Pjotr
Father Jarow
Uncle Jarow
Ferdyschtschenko
Elsa Siebeneier
Brother-in-law Jarow
Mother Jarow
監督
原作
原作
撮影
音楽
音楽監督
セット
台詞
脚色
[c]キネマ旬報社