ミシェル・モルガン
Jeanne d'Arc
「女の平和」「戦争と女」に並び、戦乱のかげに生きる女性を描く三部作の一つ。ここでは奇蹟の乙女ジャンヌ・ダルクを扱う。「居酒屋(1956)」のコンビ、ジャン・オーランシュとピエール・ボストが脚本と台詞を書き、「ノートルダムのせむし男」のジャン・ドラノワが監督した。撮影は「夜の騎士道」のロベール・ルフェーヴル、音楽は「女の獄舎」のロマン・ヴラド。主演は「マリー・アントワネット」のミシェル・モルガン、「ナポレオン」のダニエル・イヴェルネル、ほかにロベール・ダルバン、アンドレ・クレマン、キャサリン・カスなど。
神の声を聞く奇蹟の乙女ジャンヌ・ダルク(ミシェル・モルガン)が、英国の占領からオルレアンを解放、救国の英雄と謳われたのも今は夢、パリを前に無残にも挫折した彼女が、国王にも見捨てられ、悲運に泣く一四三〇年の春である。もはや呼んでも神は答えずコンピエーニュへ向うジャンヌ・ダルクの行手には敗戦を物語る兵士の死体の群。近くにバレッタ大尉の一隊がいるのを知って元気づいたのも束の間、当のバレッタ大尉は、軍資金に事欠き、神のお告げも聞こえなくなった彼女を見捨て去る。四面楚歌のジャンヌ・ダルクのもとに過去の奇蹟と栄光を信ずる村人が、死んだ幼児の祈祷を頼みに来た。気のすすまぬジャンヌは渋々承諾したが、いざ祈ると幼児は蘇生、奇蹟は再現した。しかも一同の驚嘆の中に、神の声さえ聞えて来た。神の声はジャンヌに、あくまで戦えと命じたが、同時に彼女が敵中に陥ると予言した。だが聖女として回復したジャンヌは民衆の信頼に今は引くに引かれる身。彼女は運命の戦場コンピエーニュへと馬を進めて行った。
Jeanne d'Arc
Baretta
D'Aulon
Une fille
La mere
Noiroufle
Pierre d'Arc
Pasbuerel
[c]キネマ旬報社