リチャード・トッド
Lieut. Commander Kerans
一九四九年の中国内乱において中共軍の不法砲撃を受けた英艦アメシスト号の、いわゆる“揚子江事件”を描いた一篇。「怒りの海」のエリック・アンブラーの脚本により「暁の出撃」近くは「八十日間世界一周」のマイケル・アンダーソンが監督した。撮影は、「怒りの海」のゴードン・ダインズ、音楽は「暁の出撃」のレイトン・ルーカス。主演は「あの日あのとき」のリチャード・トッド、「追想」のエイキム・タミロフのほか、ドナルド・ヒューストン、ケイ・ルークなど。
国府、中共に別れ内乱戦を展開する中国。一九四九年の四月十九日、英国海軍のアメシスト号は上海を出航、南京に向ったが途中沿岸の中国人民解放軍から攻撃をうけた。この航行は既に中国政府の許可を受け合法的なものであった。余りの不意打に焦った艦は却って浅瀬に乗りあげてしまい、五十四人もの死傷者を出していた。この報告を受けた南京英国大使館は、大使館付武官補ジョン・S・ケランズ少佐(リチャード・トッド)を陸路派遣、負傷者送還とアメシスト号指揮を命じた。乗組員によってどうやら離礁はしたものの、河岸の砲台に看視され、身動きできず、欠乏する燃料、灼熱の太陽に乗組員の体は衰えはじめていった。既に国家の支配権を握った中共軍は、アメシスト号解放についての外交的手段による交渉を一切拒絶したのである。為にケランズは地方共産党のボス・ペン大佐(エイキム・タミロフ)との談判を余儀なくされた。ペン大佐の要求はアメシスト号解放の最少限度の代償として、この事件の罪一切が英海軍にある事を認めさせようとした。何ヵ月間もこの交渉は続いた。七月--情況は絶望的になっていった。最後の決断をする時が来た。河口迄航行するだけの燃料油のある中に脱出するか、航海権を与えるというペン大佐の約束を信用するか。そして七月末。ケランズは脱出の決意を固めた。彼は、非常な危険を冒そうとしていた。沿岸の砲台の事や、脱出を防止する為に河におかれた防材を抜けなければならない事、しかも最も危険な航海に水先案内がいない事だ。しかし敢然として決行した後はこの脱出を神の御手に委ねたのだ。アメシスト号が揚子江の百四十マイルを如何に突進して下ったか、それは英国海軍の船舶操作技術と勇気を示す偉大な物語である。七月三十日夜十時から翌日の暁過ぎ迄の航行だった。アメシスト号は遂に呉淞城砦の大砲の射程外に抜け出し、ケランズは極東軍司令官に宛てて、あの有名な信号を送る事ができたのである。--『再び艦隊に帰任。南方に在り。損害、死傷者共に無し。国王万歳!』
Lieut. Commander Kerans
Leading Seaman Frank
Colonel Peng
Lieut. Weston
Capt. Kuo Tai
Miss Charlotte Dunlap
Flight Lieut. Fearnley
Lieut. Hett
Lieut. Strain
Lieut. Berger
Petty Officer Stores McCarthy
Mr. Monaghan Acting Commissioned Gunner
監督
脚本
製作
撮影
音楽
技術顧問
[c]キネマ旬報社