ハンスイョルグ・フェルミー
Teichmann
西独のベスト・セラーで“リーダース・ダイジェスト”にも掲載されたことのあるヴォルフガング・オットの原作を、彼自身がシナリオ化し、戦前「黒衣の処女」を作り、戦時中アメリカにあったフランク・ヴィスバールが監督した海戦をめぐる人間劇。題名の“鮫”は戦争の暴力を、“小魚”はそれに支配される弱き人間を示している。撮影はギュンター・ヘッセ、音楽はハンス・マルティン・マイエフスキー。出演者は新人が多く、仏映画「雪は汚れていた」に端役で出ていたハンスイョルグ・フェルミーの他、ホルスト・フランク、トーマス・ブラウト、エルンスト・J・ラインホルト、ハインツ・エンゲルマン等。製作ウィリー・ツァイン。
第二次大戦たけなわの頃、タイヒマン少尉候補生(ハンスイョルグ・フェルミー)はドイツ海軍掃海艇アルバトロス号に同僚三人と配属された。艇隊司令ヴェゲナー少佐(ハインツ・エンゲルマン)は好人物で、タイヒマンは彼を尊敬し、若く美しいその妻エディット(ザビーネ・ベートマン)を秘かに恋した。やがて出撃の日がきた。敵機襲撃の緊張から、アルバトロス号の当直士官パウリ中尉は部下に当りちらし、少佐の命令にそむいて単独行動をとり英国魚雷艇隊の攻撃をうけて艇を大破させたので処罰された。基地にひき上げたタイヒマンは、エディットへの恋をまぎらすため、ナイト・クラブにいりびたり、ドラ(マディ・ラール)という女性と知合ったりした。修理なったアルバトロス号は再び出撃したが、連合国空軍の猛攻撃にあって遂に沈没し、重傷を負ったタイヒマンは海中に放り出された。救命艇にやっとかじりついた彼は頭に負傷し、生きる意欲を失っているヴェゲナー大佐を救い、漂流の末、リュットケ少佐(ヴォルフガンク・プライス)のUボートに救助された。一年の療養生活ののち、タイヒマンは同僚ハイネの両親の家で休暇を送り、エディットからも招待をうけたが、夫の大佐は盲目となっていた。再起したタイヒマンはリュットケ少佐のUボートに乗組んだ。少佐は巧妙な作戦と勇敢な行動力をもった武人だが、慈悲ということを知らず、心を彼に打明けようとしなかった。戦闘で鉄十字章を得ながら、反ナチの父が収容所で殺されたのを知ったハイネが自殺した頃から、戦局はドイツにとって絶望的な段階に突入していた。北極洋での作戦中の艦の故障修理を、共に氷海につかってやりとげ、タイヒマンは少佐と友情で結ばれたが、それもつかの間、艦は敵の砲火をあびて沈没、辛うじて脱出したタイヒマン達数人の目前で、少佐は艦と共にさかまく渦の中にのみこまれていった。
Teichmann
Edith Wegener
Luttke
Dora
Erich Wegener
Heyne
Stollenberg
Vogele
Chief Engineer
Pauli
監督
脚本、原作
製作
撮影
音楽
美術
編集
作曲
作詞
[c]キネマ旬報社