監督、脚本
こうのとりの生態と、人間にも変らぬその愛情などをキャメラにとらえたソ連文化映画。監督はボリス・ドーリン、台本構成はドーリン自身。撮影はV・アスムス、作曲ヴィクトル・オランスキー。学術顧問としてP・マンティフェリ教授とG・デミンテフ教授が参加している。
ストーリー
渡り鳥は、その道すじ研究のために足にアルミの環をつけられる。群をつくって南国に旅をつづける環をつけたこうのとりの一羽が、電線にぶつかり、群から取りのこされたまま、動けなくなった。つれのおすのこうの鳥が一しょに残った。雪が降って来て、きびしい寒さが訪れて来た。ある人がこの残されたひとつがいのこうのとりをみつけ、やがて一組のこうのとりは、人間たちになつき、家の中に住むようになった。春、温かくなるとこうのとりは巣をつくりはじめた。めすが卵をあたためている間に、おすは餌をさがす。やがてひなどりが生れ、親達は餌の野ねずみを求めて何度も飛ぶ。子供のこうのとりは、やがて飛ぶ練習をはじめる。何度もくりかえすうち、遂に一番若いひな鳥も、母親について飛べるようになった。やがて鳥たちは再び群をつくって集り、バルカンをこえ、小アジア、シリア、パレスティナからエジプト、ナイルの上流で冬をこす。だが彼等は、自分でつくった巣を忘れない。春になると、もとの場所へ帰って来る。こうして人間と親しんだ一組は、いつも同じところで春から夏をすごした。一九四二年、戦争がおこり侵入してきたドイツ軍によって人間の家はやかれた。こうの鳥の巣も焼かれた。おすも子供も死に、めすだけが一羽のこった。秋、その一羽は南へ飛びたったが、翌年ソヴィエトの国土に自由がよみがえった時、鳥たちは再び南から帰って来た。めすのこうのとりも、古い巣のあった場所に、新しいおすと生活を始めた。
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