ダーク・ボガード
Flight Lieut. Michael Quinn
英国の新人作家リチャード・メイスンが、戦時中の東南アジア戦線での体験をもとに書いた同名原作を自から脚色した、大戦中のインドを舞台とする英国空軍将校と日本語教師の日本娘との悲恋物語。監督は「二都物語」のラルフ・トーマスがあたり、撮影監督は同じ「二都物語」のアーネスト・スチュワードが担当した。音楽はイタリアの作曲家アンジェロ・フランチェスコ・ラヴァニーノ。タジ・マハール寺院をはじめとする、インドの風光がロケによってキャメラにおさめられている。主演するのは「二都物語」のダーク・ボガードと「静かなアメリカ人」の谷洋子。その他「武装強盗団」のロナルド・ルイス、「暁の出撃」のジョン・フレーザー、「戦艦シュペー号の最後」のアンソニー・ブッシェル、最後の決死隊」のマイケル・メドウィン等が出演、日本側からヘンリー・大川の名で大川平八郎と、池田正が出演している。ピーター・ハートの作曲による主題歌を歌っているのはヴェラ・リン。製作ベティ・E・ボックス。
一九四三年のインド戦線で、空軍中尉マイケル・クイン(ダーク・ボガード)は、同僚のピーターや、フェニックス少佐、茶目なラム等とともに、日本軍捕虜訊問官となるため日本語教育を受けることとなった。日本に長くいたという学校長の准将は、先生として彼等に若く美しい日本の娘を紹介した。スズキ(ヨーコ・タニ)さんと呼ばれる、戦争に反対して亡命してきた彼女は、清純で美しかった。“淋しい”という日本語から彼女を“サビイ”と呼ぶことにしたマイケルは、彼女に恋した。休暇でジャイプールに旅行した二人は、インドの風光のなかで幸福に酔った。フェニックスの中傷もあったが、准将は二人に日本風家屋を提供してくれた。だがマイケルは、サビイの顔に時々、暗い影が浮ぶのに気づいていた。学校の課業は終り、成績優秀なマイケルはデリー滞在を許されたが、運命のいたずらは重傷を負った士官の身代りとして彼を前線に送った。前線で准将や、かつての態度を改めたフェニックスに再会したマイケルは、偵察の途中日本軍の包囲にあい、捕えられた。激しい拷問が彼を痛めつけたが、オール・インディアの日本語放送から流れ出るサビイの声が彼を元気づけた。彼女はアナウンサーになっていた。しかし、その彼女の声がある日ぱったり途だえた。不安におののいたマイケルは脱走した。苦難のすえ英軍パトロールに救われた彼がデリーで会ったのは、病室にある重症の彼女だった。はじめて彼は彼女の暗い影の正体を知った。彼女は不治の病を持っていたのである。手術は不成功に終り、マイケルとの再会を喜んだ彼女は息をひきとった。マイケルの心の中に永遠の想い出を残して。
Flight Lieut. Michael Quinn
Sabby (Suzuki San)
Squadron Leader Fenwick
Flying Officer Peter Munroe
The Brigadier
Lieut. Nakamura
Bahadur
Lamb
Hobson
Moss
Itsumi San
Corporal Mori
監督
脚本、原作
指揮
製作
撮影
美術
編集
作曲
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