ブリジット・バルドー
Yvette
「殺人鬼に罠をかけろ」のジョルジュ・シムノンの原作「不幸な場合」を、「赤と黒(1954)」「肉体の悪魔(1947)」のクロード・オータン・ララが監督した作品。功成り名をとげた中年の弁護士と無軌道な小娘の関係をめぐる、情痴と犯罪のドラマが描かれる。脚色は「赤と黒(1954)」「居酒屋(1956)」などで共同執筆しているジャン・オーランシュとピエール・ボストのコンビが受けもち、台詞も同時に手がけている。撮影はジャック・ナトー、音楽はルネ・クロエレック、いずれも「赤と黒(1954)」に参加している人たちである。主演するのは「殺人鬼に罠をかけろ」のジャン・ギャバン、「月夜の宝石」のブリジット・バルドー。その他に「青い麦」のエドウィジュ・フィエール、「宿命」のニコール・ベルジェ、フランコ・インテルレンギ、マドレーヌ・バルビュレ、ガブリエル・フォンタン、ジャック・クランシー等が出演している。製作ラウール・J・レヴィ。2024年9月13日より『ブリジット・バルドー レトロスペクティヴBB生誕90年祭』にて劇場上映(配給:キングレコード)。
パリ法曹界に名弁護士の名の高い、中年のアンドレ・ゴビヨ(ジャン・ギャバン)は、ふとしたことからブロンド娘イヴェット・モーデ(ブリジット・バルドー)の弁護をひきうけた。彼女は、金に困った末に、子供の遊びのような計画をたて、女友達と二人で宝石商を襲ったのだ。この罪は、ゴビヨの努力によって、犯行直後に彼女が行ったバーのバーテンを買収することで無罪となった。こんな事件にゴビヨを専念させ、彼に危い橋を渡らせたのは、コケティッシュなイヴェットの、あやしい魅力をもった肉体だった。妻ヴィヴィアヌ(エドウィジュ・フィエール)の冷たい視線をよそに、ゴビヨはイヴェットの肉体に溺れていった。そんな時、彼の老いらくの恋にマゼッティ(フランコ・インテルレンギ)とよばれる医学生のライヴァルが現れた。夜は工場に働いて苦学するこの青年は、初めてしったイヴェットの身体に情熱を燃え上らせ、二人はゴビヨの留守に逢う瀬をつづけた。しかしイヴェットは、マゼッティの要求にもかかわらず、不自由のない囲われ者の生活をやめようとはしなかった。折からバーテン買収による偽証事件が発覚して、ゴビヨは二年間の法廷生活停止を宣告された。けれど、ゴビヨのイヴェットへの情熱はかえって拍車をかけられるばかりだった。彼は、もう二度とマゼッティに会わぬという手紙を書かせた上で、豪華な邸宅を買って彼女をそこに移らせ、ジャニーヌという女中をつけた。そしてイヴェットは妊娠した。狂喜したゴビヨは、もう世間態もはばからず、彼女をスキーに連れていくことにした。ところが、洋品店にスキー用のセーターを買いに行った帰途、イヴェットは、行方不明となった。夜になってイヴェットの邸に電話をかけ、それを知ったゴビヨは不吉な予感から警視庁にかけつけた。彼の予感は、はずれてはいなかった。警視庁の刑事は、彼にイヴェツトの死を告げた。刑事にともなわれて行ったマゼッティの下宿には、イヴェットの硬直した死体があった。「娘が帰るというのに、男が帰さなかったのだそうです、これはあなたの弁護した娘でしたね?」という刑事の言葉も、放心したゴビヨの耳にはもう入らなかった。
Yvette
Gobillot
Viviane
Mazetti
Jeanine
Bordenave
Duret
Noemie
Anna
Police man
Old woman
Gaston
監督
原作
製作
撮影
音楽
美術
台詞、脚色
台詞、脚色
字幕
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