ボリス・アンドレエフ
Ilya Muromets
ロシヤに古くから伝えられる民族的叙事詩に材をとり、ロシヤの大地を破滅から救った豪傑イリヤ・ムーロメツの物語を映画化した作品。監督は、この種の作品を多く過去に手がけている「虹の世界のサトコ」のアレクサンドル・プトゥシコ。脚本をM・コチネフが担当している。撮影はフョードル・プロヴォロフとY・クンが共同で受けもち、音楽はイーゴリ・モロゾフ。出演するのはボリス・アンドレエフ、アンドレイ・アブリコソフ、N・メドウェージェフ、ニネリ・ムイシコフ、A・シュオーリン、S・マルチンソン、G・ジョーミン、エス・ストリャーロフ、シャー・ブルハーノフ等。他にトゥガル女の踊り子として、安聖姫が特別出演している。数々の合成やトリック撮影によって、壮大な物語がスクリーンに再現されている。ソホカラー・ソ連スコープ。
昔々の物語である。ロシヤにイリヤ・ムーロメツ(ボリス・アンドレエフ)という強力な男がいたが、三十年も坐ったままで、トゥガル人が村を襲い恋人ワシリーサ(ニネリ・ムイシコフ)を捕えさっても、どうすることも出来なかった。ある日巡礼が村にやってきて彼に薬草を飲ませた。するとイリヤは元気になり、巡礼がくれた老勇士スウヤトゴールの剣をもち、隣人から貰った名馬ブルーシカに乗って、ワシリーサを求めて旅に出た。途中、ウグイス強盗という怪物を倒し、ウラジミル大公に勇士の称号を貰い、ドフルイニヤやアリョーシャなどの勇士と兄弟になったりして、彼はワシリーサを救い出して故郷に帰った。ところがワシリーサが、貴族ミシャトイチカの裏切りを告げた。そこでイリヤは大公の許に行ったが、逆にミシャトイチカの中傷で地下牢に入れられた。しかしトゥガル人が再び攻撃をはじめ、ワシリーサをさらったりしたので、大公もイリヤを起用せざるを得なくなった。イリヤは計略を用いて時をかせぎ、三日でロシヤ軍隊を集結させた。決戦を前にしてトゥガル人の王カリンが、大公に一騎討を申しこんできた。イリヤと敵の豪傑ソコーリニチェクの死闘がはじまった。勝負のつかぬうちに、イリヤはソコーリニチェクの指環から、彼が自分とワシリーサとの間の子であることに気づいた。親子はカリン王をだまして、イリヤの勝利と見せて、そのすきにワシリーサ救出を計った。だがカリン王は最初の約束を破って自分の軍隊を攻撃にうつらせた。カリン王は口から火をはくゴイルニッチ蛇をひき出してロシヤ軍にかかってきた。戦闘は困難をきわめたが、イリヤは大軍にたち向い、刀で蛇の首を斬りおとした。こうして、イリヤによってロシヤの大地は、破滅から救われたのである。
Ilya Muromets
Prince Vladimir
Princess Apraxia
Vasilisa
Sokolnichek
Mishatychka
Alyosha Popovich
Kalin Tsar
[c]キネマ旬報社