ロミー・シュナイダー
Nicole Dassau
トトカマ娘が結婚するまでを描いたコメディ。ハンス・ヤコービーが脚本を書き、監督は新進ロルフ・ティーレが担当、撮影は「枯葉」のクラウス・フォン・ラウテンフェルト、音楽はハンス・マルティン・マイエフスキー。出演は「プリンセス・シシー」のロミー・シュナイダー、「大人になりたい」のカルロス・トンプソン、その他ロミーの実母で往年の名女優マグダ・シュナイダー、ヨゼフ・マインラート、ゲルトラウト・エッセラー、アルフレート・コスタス等。製作カール・エーリッヒ。
ウィーンのダサウ家は“芸術”好きの一家だ。ダサウ氏(ヨゼフ・マインラート)は郵便局の副局長だが、スリラー小説の創作に熱中している。夫人(マグダ・シュナイダー)の道楽は作曲だ。長女のニコーレ(ロミー・シュナイダー)は本屋の売り子で、夜は詩作にふける。次女ブリギッテは大変なおマセだが、ゴッホばりの絵を描く。末っ子のトーマスは軽業が得意だ。--またまた、出版社から、父のスリラーにも、母のラブ・ソングにも、ニコーレの詩にも、断りの返事がきた。ニコーレは考えた。十六歳の小娘の書いた「恋の記録」とやらが、店で売れている。セックス。そうだ、思いきってお下劣な芝居を書いてやろう。--ダサウ家の連中は知恵をしぼった。著者の体験という、この「エヴァー十六歳の想い出」は、ウィーン宮廷劇場で採用された。上演は反響を呼び、毎日大入りが続いた。一家は念願の超近代的な家に住んだ。--アメリカのプロデューサー・ドット氏(カルロス・トンプソン)がニューヨーク公演を申しこんできた。権利金は二万五千ドル。ただし、本当に少女の体験記であることの実証が条件だ。マネージャー・ダサウ氏は著者とは会わせられぬと断った。が、家の月賦など金は必要だった。体面を気にする母をふりきって、ニコーレは劇場へ会いに行った。いかにもズベ公のような服装で。ドット氏は芝居もそうだが、作者も気にいった。彼女が作者と知ると、天井サジキのハイティーンたちは熱狂した。彼らの巣のバーに連れこみ、踊り狂う。ドット氏は彼女を助けだし、高級クラブで口説いたものである。トトカマのニコーレは驚きあわてて、逃げ帰った。翌日、ドット氏は謝罪にやってきた。どうやら、恋のトリコになったらしい。ニコーレの方も、だんだん彼にイカレてき、遊園地のゴンドラの中で、体験記ではないことを話してしまう。彼は怒った、--商人として。が、ニコーレが訪ねてき、またズベ公を演じた時、彼女の純潔を悟った彼はニヤリとした、--恋人として。彼はダサウ氏とアメリカ公演を契約した。ニコーレの同行は条件になっていなかった。その必要はなかった。なぜなら、二人はひそかに結婚式をあげたのであり、アメリカへそのまま密月旅行に行くのだから。
Nicole Dassau
Mister Dott
Mother Dassau
Father Dassau
Thomas Dassau
Brigitte Dassau
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