ピエトロ・ジェルミ
Andrea
「街は自衛する」「鉄道員」のピエトロ・ジェルミ監督作。三人家族のある機械熟練工の生活をめぐって、妻子の留守中に起った夫と別の女との関係を中心に、現代イタリア小市民家庭の物語が描かれる。ピエトロ・ジェルミとアルフレード・ジャンネッティの共同になる原案を、ピエトロ・ジェルミ、アルフレード・ジャンネッティ、レオ・ベンヴェヌーティ、ピエロ・デ・ベルナルディの四人が共同で脚本化している。撮影は「鉄道員」のレオニダ・バルボーニ。音楽をカルロ・ルスティケリが担当している。出演者は「鉄道員」のキャスト、ピエトロ・ジェルミ自身をはじめ、ルイザ・デラ・ノーチェ、エドアルド・ネヴォラ少年、サーロ・ウルツィ等。それに新しくフランカ・ベットーヤが主要な役を演じて登場する。製作フランコ・クリスタルディ。
ローマに住む機械熟練工アンドレア(ピエトロ・ジェルミ)には、妻のルイザ(ルイザ・デラ・ノーチェ)との間に八歳の一人息子のジュリオがあった。日曜日に狩りにつれて行って雨に当ったことから、ジュリオが肺炎をおこし、その療養のためにルイザはジュリオをつれて田舎の実家に帰った。妻と子のいなくなったアパー卜で一人暮すようになったアンドレアの生活は、何か空虚だった。日曜ごとに海に近い田舎の実家を訪れることで、彼は自分の心をなぐさめた。そんなある曇った日曜日、実家近くの海岸で、彼はふと何か淋し気な一人の女に出会った。町に帰るバスの中でも彼女といっしょになって、アンドレアは彼女に話しかけた。その女、リータ(フランカ・ベットーヤ)は、アンドレアの向いのアパートに住むビジネス・ガールだった。リータの弟を自分の務める工場に入れるよう計らってやったりして、二人はよく会った。お互に離れられなくなるのを知りながら。そしてある晩、残業で一人タイプを打つリータのオフィスにアンドレアが訪れた夜、二人は結ばれた。だが、やがて全快したジュリオと妻が、アパートに帰って来る日がやってきた。こうなるとは解ってはいたものの、リータはアンドレアと別れ難かった。なるべく彼女を忘れようとするアンドレアを、リータは郊外のカフェに呼び出したりした。最後にもう一度会ってくれというリータの電話に、アンドレアは散歩をよそおって出かけた。その後をジュリオ少年と愛犬が追った。父親のあとから少年が声をかけて走りだした時、愛犬がトラックの車輪にかけられた。泣き叫ぶ少年の姿とアンドレアを見て、リータは自分と彼の関係が終ったのを悟った。クリスマスも近いある晩、リータはアパートのバルコニーから身を投げて死んだ。苦しみに耐えられず、アンドレアは、リータの死の原因が自分にあることを教会で妻に告白した。妻はジュリオをつれてアパートを去り、田舎に帰った。年の瀬を迎えて、アンドレアは酒に酔いしれた。親友べッペのなぐさめも空しかった。新年を迎えて町中が花火でさわぐ夜、アンドレアは打ちひしがれたように一人アパートの階段を上った。アパートの部屋に、妻と子は帰っていた。三人は抱きあった。しかし、夫と妻は、今や自分たちの間から、一番大切なものが失われてしまったことを知るのだった。
監督、脚本、原案
脚本
脚本、原案
脚本
製作
撮影
音楽
[c]キネマ旬報社