ダニエル・ダリュー
Jeanne
実話にもとづき、第二次大戦末期のフランスの農村を舞台に、ゲシュタポから逃れた盲目の青年と、年上の女の恋を描いたもの。ジャック・アントワーヌの『真実の物語』を、「非情」のドニス・ド・ラ・パテリエール監督がローラン・ローダンバックと脚色した。撮影はピエール・プティ、音楽はモーリス・ティリエ。出演は「狂った夜」のジャン・クロード・ブリアリ、「自殺への契約書」のダニエル・ダリューのほか、フランソワーズ・ロゼー、ベルナール・ブリエら。
ジャンヌ(ダニエル・ダリュー)はとうに婚期を過ぎていた。リューマチを病む母モンカテル夫人(フランソワーズ・ロゼー)と女中の三人暮しの田舎邸で、彼女の顔はもう微笑を忘れてしまっていた。母親は娘を見る毎に、馬鹿だ、みにくい娘だと罵った。ジャンヌもいつか自分をそう信じ込んでしまった。戦争は末期に近かった。戦火はこの地方には及ばず、この淋しい家には何の変化もなかった。--ある夜、ジャンヌは邸の近くで倒れている一人の若者を見つけ邸にかくまった。彼、ピエール(ジャン・クロード・ブリアリ)はゲシュタポに逮捕され護送の途中逃れたが、事故で両眼は失明していた。母にかくれて必死に看護するジャンヌにとって、ピエールは初めて接する若い男だった。青年はジャンヌを愛した。醜いと信じているジャンヌにとって盲目の青年の愛はむしろ幸福だった。そして恋はジャンヌをいつか明るく美しいジャンヌにした。戦争は終った。口汚く罵る母を後にして、二人はパリに出た。ささやかな幸福な毎日がつづいた。ピエールの目が角膜移植によって再び見えるようになると知った時、ジャンヌの心は動いた。ピエールの目が開けば、二人の恋は終ろう。しかし若者の前途を、せっかく開かれる前途を、年上の女の道連れにしてはならない。……手術は成功した。数週間後にピエールが退院した時、ジャンヌは姿を消していた。ジャンヌのいない人生はピエールにとって盲目の人生より暗かった。田舎邸を訪ねた彼はドニーズから、ジャンヌがパリ郊外の会社でタイピストとして働いていることを知った。夕方のサン・ラザール駅に立ってピエールはジャンヌを待った。--あの人は私の顔を知らないのだ--ジャンヌは無言のまま彼の前を通り過ぎようとした。その時、ピエールの声がはっきり彼女を呼びとめた。「ジャンヌ!」
Jeanne
Pierre
Mme Moncatel
Doc. Andrieux
Denise
Le Cure
Le Chirurgien
監督、脚色
原作
撮影
音楽
美術
台詞
脚色
[c]キネマ旬報社