ウラジミール・イワショフ
Alyosha
一兵士の帰郷を軸に、戦争反対をうたいあげた作品。「女狙撃兵 マリュートカ」の新進グリゴーリ・チュフライが監督した。脚本は彼とその友人ワレンチン・イェジョフの共同。撮影もウラジミール・ニコラエフとエラ・サベリエフの二人。音楽はミハイル・ジフ。出演はともに映画初出演のウラジミール・イワショフ、ジャンナ・プロホレンコなど。一九六〇年カンヌ映画祭最優秀特別作品賞を受け、第三回全ソ映画祭でも最優秀作品賞、最優秀監督賞、映画評論家特別賞の三賞を受けた。
白い一本道のどこまでも続く野原に黒いスカーフをかぶった母親が立っている。彼女の息子アリョーシャは、この道を通って戦争に行ったまま帰らなかった。--ナチスがロシアに攻めこみ、戦争がもっとも苦しかった頃。一七歳の少年兵アリョーシャ(ウラジミール・イワショフ)は、二台の戦車を炎上させて英雄となり、特別休暇をあたえられた。が、彼は決して勇敢で不死身な英雄ではなかった。敵戦車に追いつめられ、偶然みつかった対戦車砲を手にして、必死に放った弾丸が命中したのである。勲章よりも一人暮しの故郷の母に会うことを願って、彼は六日間の休暇をあたえられたのだ。故郷への列車の中で彼は一人の負傷兵に会った。戦争で足を失った彼は妻に会うのをいやがって、悩んでいた。しかし彼の妻はプラットフォームに迎えにきていた。涙にくれる二人を残してアリョーシャは旅を続ける。貴重な肉のカン詰を看視兵にやってやっと貨物列車にもぐりこんだ彼は、その中で一人の少女シューラ(ジャンナ・プロホレンコ)に会った。彼女は負傷した許婚者を病院に訪ね、故郷に帰るため秘かに貨車にのったのである。最初は警戒していたシューラも、やがて彼に好意を抱くようになった。途中水くみに出て列車をやりすごしたりしながら、二人の旅は続く。アリョーシャは戦線で見知らぬ兵から託された石ケンを持って、彼の留守家族を訪ねる。苦しい生活の中で、兵士の妻は他の男と同棲していた。やがてアリョーシャとシューラは、互の住所もしらぬまま別れた。つきぬ思いを胸に秘めて--。もう休暇は残り少ない。戦線への帰途の時間を計算すると、アリョーシャは母親と、ほんの一瞬しか会っていることができなかった。畑で働いていた母は、涙で息子のトラックが遠ざかるのを見送った。そして、アリョーシャの姿は二度と、もう故郷に戻らなかったのである。
Alyosha
Shura
Alyosha's Mother
General
Invalid
監督、脚本
脚本
撮影
撮影
音楽
美術
編集
録音
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