ジャン・マレー
Lagardere
フランスの剣豪作家ポール・フェヴァルの小説『せむし』を「カジノ・ド・パリ」のアンドレ・ユヌベル監督が映画化した作品。脚色をジャン・アラン、ピエール・フーコー、アンドレ・ユヌベルの三人が共同して担当し、台詞をジャン・アランが書いている。撮影を受けもったのは「野性の誘惑」のマルセル・グリニョン。音楽をジャン・マリオンがそれぞれ担当している。出演するのはブルボン王朝はなやかなりし頃の時代色を背景に美剣士ぶりをみせる「オルフェ」「美女と野獣」のジャン・マレーをはじめ、「青い女馬」「両面の鏡」のアンドレ・ブールビル、二役を演じている新人のサビーナ・セルマン、コメディー・フランセーズの座員であるフランソワ・ショメットなどである。イーストマンカラー・ディアリスコープ。
一八世紀、栄華を極めるフランス・ブルボン王朝の宮廷内部には醜い陰謀術策が渦まいていた。若き領主ヌベール公も、野心家で従弟のゴンザク公に命を狙われていた。ある晩、危険を知ったヌベール公は一人娘オロール姫を安全な場所に移そうと城外に出た。そこにはゴンザク配下の刺客が待伏せていて、激しい剣闘が展開した。その時、さすらいの剣士ラガルデール(ジャン・マレー)と忠僕パスポアル(アンドレ・ブールビル)がヌベール公の加勢に加わった。刺客は去ったが、ヌベール公はゴンザクに背後から刺された。公は姫のことを二人に頼んで息絶えた。ゴンザクは城に戻り、犯人はラガルデールだといい、彼の逮捕を命じた。追手を逃れた三人はスペインに隠れた。姫が生存中は遺産が相続出来ぬため、ゴンザクはスペインに刺客を向けた。三人はフランスに戻り、旧友の邸にかくまわれた。歳月が流れた。ゴンザクは宮廷で権力をふるっていた。彼はジプシーを買収して、姫(サビーナ・セルマン)が死んだと証言させた。ラガルデールは変装してゴンザクに近づき悪計を知った。そこでヌベール公の妻イザベル(サビーナ・セルマン)に姫生存を教え王室舞踏会に連れて行くといった。その舞踏会の日がきた。が、ジプシーの一人がゴンザクに密告したため、姫は彼の別邸に檻禁された。ラガルデールは別邸に向った。ゴンザク一味がこれを迎え撃った。激闘の最中、パスポアルがイザベルと摂政ルイ公を連れてきた。ゴンザクの悪事は暴かれ、ラガルデールと決闘することになった。ゴンザクは倒れた。摂政はラガルデールを伯爵に任じた。オロール姫と結ばれる日も近かった。
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