ベリンダ・リー
Anna
ジョルジョ・バッサーニの原案を映画化した人間ドラマ。監督はフロレスターノ・ヴァンチーニ。脚色はエンニオ・デ・コンチーニ、ピエル・パオロ・パゾリーニ、フロレスターノ・ヴァンチーニの共同。撮影はカルロ・ディ・パルマ。出演するのはベリンダ・リー、ジーノ・チェルヴィなど。
一九四三年秋の、フェルラーラの町。ムッソリーニ失脚後、ファシストたちはなおも再興を図っていた。町の中心部にある薬局に働くアンナ(ベリンダ・リー)は、半身不随の夫バリラリ博士と平穏な生活を送っていたが、ある日、映画館で学生時代のボーイ・フレンドだったフランコ(ガブリエレ・フェルゼッティ)に偶然会ったのがきっかけで諦めていた恋が再び燃え上がった。愛し愛されることができる幸福をしみじみと味わった。折も折、町のファシスト党の盟主ボロニエジ領事が暗殺された。これを反ファシスト派の仕業とにらんだ党員たちは、実は後釜をねらう暗殺計画者カルロに踊らされ、報復手段をとることに決めた。アンナがフランコ家を訪れたとき、兵隊が踏み込んで有名なファシストであるフランコの父を捕えた。町の中央でフランコの父たち十人が処刑された。銃声を聞いてバリラリ博士は窓からその情景を目撃、指導者がカルロであることを知った。明け方になって帰宅したアンナは自分のしてきたことが夫にばれてしまったことを悟り、フランコの許に引返したが、家族脱出を図っていた彼は二人の関係はアバンチュールとしか考えていないという。一方、カルロは虐殺の目撃者バリラリ博士を訪ね、秘密を口外しないでくれと頼んだ。フランコの不実に心乱れたアンナは、夫のファシストに対する煮えきらぬ態度に、家を出た。それから十七年、裕福になったフランコが、妻子と一緒にスイスから戻った。彼はアンナとバリラリ博士の行方を尋ね歩いた。すでに博士は死亡、アンナの消息は知れなかった。あるレストランで、彼は偶然カルロに会った。二人は旧友のように握手した。別れてからフランコは妻に語った。「ファシストの指導者さ。当時、あの男は大物だった。しかし本当は善良な男さ」そして彼は車を走らせ、何処へともなく去った。「自由のために雄々しくも命を棄てた人々の魂ぞここに眠る」という碑文だけが、いつまでも当時の悲劇を想い起させることであろう。
監督、脚色
原案
製作
撮影
美術
脚色
脚色
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