フランシスコ・ラバル
Cristobal
チャコ戦争をテーマに一九六〇年国際著述家コンクール第一位の作家アウグスト・ロア・バストスの「渇き」Dar Durst を、ゴリ・ムニョスが脚色、ルーカス・デマレが演出した。撮影はアルベルト・エチエベヘレ、マヌエル・メリノ、音楽はルチオ・デマレが担当した。出演はフランシスコ・ラバル、オルガ・スバリ、カルロス・エストラダ、ハシント・ヘレラなど。一九六一年のサン・セバスチャン映画祭で最優秀映画賞、国際賞、監督賞、脚本賞、主演女優賞(オルガ・スバリ)を獲得した。
グラン・チャコ戦線。パラグァイ軍の一部隊は敵中で孤立し、飲料水も食糧も尽き、飢死寸前の状態だった。最後の望みを託された伝令の生き残った一人が前線にたどり着いた。司令部では給水軍などからなる救援隊を組織、アキーノ軍曹(ハシント・ヘレラ)とクリストバル伍長(フランシスコ・ラバル)ら少数を送った。クリストバルを密かに愛するマグダレナ(オルガ・スバリ)が看護婦として同行を申し出た。想像を絶する苦心の末、前線基地に到着した。脱出者も出た。ここで隊を解き、給水車一台、伍長一行四名で最前線へ出発した。途中、味方の一隊に出逢うが、彼等は給水車を見ると狂気の如くに襲い、伍長を負傷させてむさぼり飲んだ。更に前線へ出発、目的地近くになって敵の一小隊に奇襲された。敵も飢え、渇いていた。クリストバルとマグダレナは重傷を負い、他の二人は死んだ。伍長は両手をマグダレナに頼んでハンドルと、レバーにゆわえつけさせた。彼女は結び終えると倒れた。立ち上ることも出来ない。行軍に加わったのは、彼に対するひたむきな愛情からなのだった。それに気づいたとき、彼女への愛がこみあげて来た。彼女を助けようとするがハンドルに結えられた手でそれも出来ない。遅過ぎた。僅かに別れの合図をした。クリストバルは涙ながらにスタートさせるしかなかった。一方最前線では--半数の隊員は餓死し、他の者も僅かに息をするのがやっとだった。彼等はそんな状態から逃れたいと、ベラ中尉に頼み、中尉も何物かにつかれたように機関銃をうちつづけた。わらをつめたタイヤから発火し、燃えながら給水車が着いた。クリストバルは死んでいた。……何もかも無意味だった…。
Cristobal
Magdalena
Vera
Aquino
Gamarra
Comandante
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