ヴィットリオ・ガスマン
Bruno
「三月生れ」のルッジェーロ・マッカリ、エットーレ・スコラと共同で「ローマの恋」のディーノ・リージがシナリオを執筆、演出した人生コメディ。撮影はアルフィオ・コンティーニ、音楽は「世界残酷物語」のリズ・オルトラーニが担当した。出演は「バラバ」のヴィットリオ・ガスマン、「スエーデンの城」のジャン・ルイ・トランティニャン、「恋のなぎさ」のカトリーヌ・スパークほか。
聖母昇天祭の休日、ローマの友人の誘いで、車をブッ飛ばして来たブルノ(ヴィットリオ・ガスマン)は、ローマ中はバカンスに出かけて商店街は空っぽなのにガッカリ。ロベルト(ジャン・ルイ・トランティニャン)は町角のアパートの一室で学生生活を送っていたが、九月の試験に備えて勉強中、ちょっとしたことで知りあったブルノに強引にドライブに誘われ、サン・ピエトロに向って走り出した。ブルノは四十歳になるというのに大変なスピード狂なのだ。サン・ピエトロのレストランも閉店と知ると、ブルノはエルネストへ車を走らせた。相変らず無謀追い越しのマッハぶり。そのうちガソリンがなくなった。ロベルトが驚いたのは、ガソリン代までロベルトにオンブしたことだった。だが正反対のブルノの性格に軽蔑を感じると同時に、何か惹かれるものを感じた。その後ふとしたことからロベルトの叔父の家へ行くことになった。ブルノはそこにもすぐ飽いて早々にとび出した。今や二人は全くのクサレ縁、ブルノは避暑地カステリオンへ行こうと言いだした、真夜中近く、一軒の酒落れた家の前に車を止めた。そこには別居中のブルノの妻ジャンナと十五歳の娘リリ(カトリーヌ・スパーク)がいた。リリは親娘以上年令の違う実業家と結婚したいという。ブルノはこれには反対した。彼はその後も相変らず年に似ぬ遊びっぷりを示したが、海沿いのハイウェイを矢のように走り、レースまがいの追い越しを演じた。ところが、車をよけそこねて、ロベルトはうまく逃げだしたものの、ブルノは死んでしまった。
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