ヴァチェスラフ・グレンコフ
Ivan
第二次大戦中の実話をもとに、ミハイル・ドウジンとセルゲイ・オルロフが共同で脚本を書き、ニキータ・クリーヒンとレオニード・メナケルが共同監督した戦争アクション。撮影はウラジミール・カラセフとニコライ・ジーリンが担当した。出演はレニングラード劇団の中堅ヴァチェスラフ・グレンコフ、ゲンナジー・ユフチン、新人ワレリー・ポゴレリツェフほか。
第二次世界大戦さなかの一九四二年ドイツ東部。ナチス軍の捕虜収容所では、新兵器の野外実験で、ソ連の戦車T34を標的にしていた。戦車の操縦士はソ連軍捕虜の中から選ばれ、一斉射撃で火につつまれる戦車の操縦士は決して生き残ることはできなかった。ある日の実験で、イワン(V・グレンコフ)、ピョートル(G・ユフチン)、少年兵アリョーシャ(V・ポゴレリツェフ)らソ連軍捕虜とフランス兵捕虜ジャンが搭乗した。彼らはさまざまな運命を持った男たちだったが、ファシズムに対する憎しみと、祖国愛にみちた者ばかりだった。射撃実験が始まったが、さしものナチス軍の新砲弾もソ連軍戦車の頑強な前面装甲板には無力だった。実験が終ろうとした時、突然、戦車T34は敵の砲車めがけて突進し、脱走を始めた。街を通り、森林をぬけ、ソ連領めざしてひた走った。戦車の脱走に対し、ナチス軍も黙ってはいなかった。脱走を続ける戦車をナチス軍が包囲し、まずフランス兵ジャンが倒れた。続く敵軍の猛烈な攻撃にピョートルとアリョーシャも死に、イワンだけが残った。頑固な意志と行動力を持つイワンは、ひとり戦車を疾駆させつづけた。その時ドイツの少年が道にとび出し、戦車の前に倒れた。少年を助けようとして戦車から下りたイワンは敵弾に射たれたのだった……。