オディール・ヴェルソワ
Anna
「ジェット機M7号」のアンソニー・ハヴェロック・アランが製作し、アンソニー・アスキスが監督する国際悲恋映画一九五四年作品。「私は告白する」のジョージ・タボリが書き下したストーリーをタボリとロビン・エストリッジが脚色した。「三十六時間」のジャック・アシャーが撮影、「彩られし幻想曲」のベンジャミン・フランケルが音楽を担当。「港のマリイ」のオディール・ヴェルソワ、新人デイヴィッド・ナイト、「ホブスンの婿選び」のジョゼフ・トメルティ、デイヴィッド・コソフ、「メルバ」のセオドア・バイケル、ポール・カーペンターなどが出演する。
ロンドンのアメリカ大使館に勤めるテッド(デイヴィッド・ナイト)は内気な性格で友だちもなく、淋しい毎日を送っていた。大使館の近くに、アメリカに対立する側のある小国の公使館があり、ゾベック公使が秘書役の娘アンナ(オディール・ヴェルソワ)とひっそり暮していた。ある夜、コヴェント・ガーデン・オペラ・ハウスへバレエを見に行ったテッドとアンナは偶然となり合せの席に坐った。見ているうちに、アンナは苦しかったドイツの占領時代を思い出し、我慢できなくなって席を立った。テッドは驚いて彼女を追い、アンナを食事に誘った。二人は互いに惹かれるものをおぼえ、翌晩テッドの宿舎での再会を約した。その日、父から仕事をいいつけられたアンナは電話でテッドに連絡したが、それを一等書記官ヨゼフがじっと見ていた。仕事を終えて彼女は彼の許へ走った。ニ人は結ばれた。ふとテッドの鞄を見たアンナは“アメリカ大使館”と書かれた文字を見て愕然とした。ヨゼフの報告をうけた父は帰って来たアンナを詰問中、発作を起して倒れた。一方アメリカ大使館では英秘密機関員モファットがテッドとアンナの電話を盗聴し、テッドに対する監視を厳重にした。アンナは父の病気で当分会えないとテッドに手紙を送った。そしてしばらくたったある日、テッドは地下鉄の駅で父につきそうアンナの姿を見、その夜電話をかけて、詩文を引用して気持を伝えた。しかし、電話は途中でゾベックに切られてしまった。この電話の録音を聞いたモファットは詩に托して機密を洩らしているのではないかと疑った。アンナは身ごもっていた。医者から知らされた父は彼女に帰国を命じた。出発前に一眼会おうと、アンナはテッドとある本屋でのランデヴを打合せたが、テッドは来ず、仕方なく彼女は本屋に書置きして帰った。そのころテッドはモファットの命令でロンドン空港へ行かねばならなくなっていたのだ。これはテッドをそのままアメリカへ送還するモファットの計略だった。空港へ行く途中本屋へ行ったテッドは書置きを見て公使館にかけつけたが、ゾベックにさえぎられ、仕方なく公使館を出たときMPに逮捕されてしまった。しかしテッドは大使館を脱出してアンナが乗った列車に乗ることに成功し、二人はニュー・ヘヴンで下車して海辺の下宿屋にかくれた。だが、テッドがブライトンへ預金引出しに行ったことから捜査網にひっかかり、逃げ場を失った二人は堅く相抱いて大暴風の中を小舟で海へと乗り出して行った。--海岸に漂着した二人の持物の中には、アンナの記した世間に対する悲痛な抗議の紙片があった。
Anna
Ted
Moffat
Szobek
Joseph
Gregg
Dr. Weissbrod
Margetson
Judy
Mrs. Forrester
Regan
Stefan
監督
脚本、脚色
製作
撮影
音楽
美術
美術
編集
録音
録音
脚色
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