ミシェル・ピッコリ
Roul
スタンダールのエッセイ『恋愛論』を現代におきかえて映画化したもので、脚色は監督のジャン・オーレルと「浮気なカロリーヌ」の原作者として知られるセシル・サン・ローラン。撮影はエドモン・リシャール、音楽はアンドレ・オディールが担当した。出演は「小間使の日記」のミシェル・ピッコリ、「予期せぬ出来事」のエルザ・マルティネッリ、「国境は燃えている」のアンナ・カリーナ、「フィフィ大空をゆく」のフィリップ・アブロン、カナダ生まれの新人ジョアンナ・シムカス、「輪舞」のジャン・ソレルほか。なお、トレーションを松村達雄が担当している。製作は「女と男のいる舗道」のピエール・ブロンベルジェ。
エレーヌ(A・カリーナ)とセルジュ(P・アブロン)の場合。恋の攻防戦は、まずセルジュの方から先制の口火をきった。町角で声をかけ、バスの中まで追いかけ、とうとうレストランに連れ込むことに成功。だが敵もさるもの、発止と渡りあい、容易には陥落しない。だがセルジュは休みなく攻撃を続け、押しの一手で、ついに恋の勝利者となった。続いてソフィー(J・シムカス)とウェルテル(B・ガルニエ)の場合はどうか。ウェルテルは誠実で内気で、あまりに礼儀正しすぎたためか、ソフィーを愛していながらも失敗した。彼のあまりの臆病さに彼女は怒ってしまったのだ。そんな二人を見ていたのが当代のドン・ファン、歯科医のラウール(M・ピッコリ)だ。彼は水際だった色事師ぶりを発揮して、またたく間にソフィーを陥落させた。しかしドン・ファンほど嫉妬ぶかいという。デート中にソフィーは、とあるアパートに立ち寄り、なかなか出てこなかった。彼女は別れた夫の部屋に行ったのだ。二人の情事を知ったラウールはソフィーを車の中で殴りつけた。それをみていたのがラウールの車と並行して走っていたマチルド(E・マルチネリ)だった。二人はいわゆる一目惚れという発作。二台の車は森の中のホテルにたどりついた。人後に落ちぬプレイボーイとプレイガールの対決である。だがラウールは失敗した。翌日、再び二人は会ったがやはりラウールは失敗。彼の苦悩は、はた目にもいたいたしいほどたった。数日後、マチルドがボーイフレンドとデートの日、ラウールは彼らを尾行した。嫉妬にかられたラウールはマチルドを奪い、海岸で彼女を抱いた。ラウールは過去に関係したすべての女性を八ミリに収める習慣だったが、ついにマチルドも、彼のコレクションに入れることができた。
Roul
Mathilde
Helene
Serge
Sophie
Werther
Sophie's ex husband
[c]キネマ旬報社