エヴァ・ダールベック
Marianne
イングマール・ベルイマンが、自作のオリジナル・シナリオで演出したコメディ。撮影は、「もだえ」のマルティン・ボディン、音楽は「令嬢ジュリー」のダグ・ヴィレーン、美術は「鏡の中にある如く」や「沈黙」で、ベルイマンとはコンビのP・A・ルンドグレンが担当した。出演は「鏡の中にある如く」のグンナール・ビヨルンストランド、「女はそれを待っている」のエヴァ・ダールベック、「道化師の夜」のハリエット・アンデルソン、イヴォンヌ・ロンバルトほか。
中年の婦人科医ダビッド(G・ビエルンストランド)は、コペンハーゲンに緊急な用件があるといって、患者の診察を中止して出かけた。彼は、たまたま乗りあわせた商人と、同室の美しい女性とどちらが先に接吻するかという、賭けをし、見事に勝った。彼女は、ダビッドの妻マリアンヌ(E・ダールベック)だったのである。--結婚生活十六年目をむかえるダビッドとマリアンヌは、ニクス(H・アンデルソン)とペルレという二人の子供があり、平凡だが、円満な生活をおくっていた。ところがダビッドは、この春、診察に来た若い人妻スザンヌと関係をもち、かりそめの情事を重ねるうちに、この一件を妻にかぎとられてからというもの、夫婦の間はうまくいかなくなった。そればかりか、そんな両親をみている年頃の娘ニクスは、恋愛なんて愚劣だといったり、家をとびだしたりはては父親に、性転換の手術さえ依頼する始末。驚いたダビッドが家庭や愛情の問題について、娘と真剣に話し合っているうちに、ふと娘の口から、マリアンヌの情事のことがもれた。相手は、こともあろうに、昔の恋人で、ダビッドとは無二の親友だった彫刻家カーラダムだった。愛情の危機を感じたダビッドは、スザンヌとの情事を清算した。そして計画を練り、妻が乗っている列車にのりこんだのである--。駅につくと、カーラダムが出迎えていた。三人はコペンハーゲンの酒場へくりこみ、カーラダムの計略で商売女のリゼが、ダビッドを誘惑にかかった。大げさに接吻する二人。それをみていたマリアンヌは嫉妬に狂ったのか、夫の胸ぐらをつかんで、わめき出したが、疲れ、いつのまにかその胸に抱かれていた。“優秀な戦略家というものは、あらゆる可能性を見通さなくてはならんのだ”というダビッドのつぶやきがきこえた。
Marianne
David
Nix
Sussanne
Carl-adam
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