ジャン=ルイ・トランティニャン
Paul Thomas
ポール・ジェゴフとクロード・シャブロールの脚本を、「殺意」のクロード・シャブロルが監督したサスペンス・タッチの女性もの。撮影は「殺意」のジャン・ラビエ、音楽も「殺意」のコンビ、ピエール・ジャンセンが担当した。出演は「恋びと」のジャン・ルイ・トランティニャン、「できごと」のジャクリーヌ・ササール、「殺意」のステファーヌ・オードランほか。製作はアンドレ・ジェノーヴェ。
父の莫大な遺産で気ままな一人暮しをしているフレデリーク(S・オードラン)は、晩秋のパリの街角で貧しい画家志望の娘ホワイ(J・ササール)を拾ってきた。ホワイにとって貧乏暮しはもうあきあき。フレデリークの好意に甘え、女二人の奇妙な同居生活が始まった。二人の性格は、まったく異なる。気が強く派手好きなフレデリークに対し、ホワイの方は、これまで貧乏に耐えてきたせいか、何事に対しても、あきらめの念と劣等感が強く、いつも物静かに振舞う娘だった。ある日、フレデリークはホワイを連れてサン・トロペの別荘に出かけた。そこでのパーティの夜、ホワイは客として来ていた建築家のポール(J・L・トランティニャン)に心を惹かれ、誘われるままに散歩に出た。これをみていたのがフレデリーク。急に嫉妬の念を覚え、翌日、ポールの仕事場を訪ねて彼を誘惑した。こんな二人の関係を、ホワイが気づかぬはずはない。だが彼女は耐えた。耐えることに、自分は慣れている……。やがてポールも別荘に住むようになった。彼を本当に愛していると告白するフレデリーク。恨んではいないというホワイ。だが彼女は、今でもポールを慕っていたし、姉のようなフレデリークに対してもある種の愛情を感じていた。だがポールとフレデリークの二人は、彼女をおいて、パリに帰っていった。ホワイは後を追った。再び帰らないつもりで……。突然現われたホワイをみて、フレデリークは彼女の髪を愛撫しながら言う--私たちは何もかも似すぎている。だから二人ともポールを愛したんだわ。その時、フレデリークの身体がくずれ、彼女の背中には鋭いナイフが。そこへ電話のベル。ポールからだ。フレデリークになりすましたホワイは、彼女と全くよく似た声で彼を夕食に誘うのだった。
Paul Thomas
Why
Frederique
Rie
Roberg
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