パウル・ダールケ
Robert
オノレ・ド・バルザックの原作を、サイレント以来のドイツ俳優グスタフ・フレーリッヒが脚色し監督した一九四九年映画。製作はロルフ・マイヤー。「題名のない映画(1948)」のイゴール・オーベルベルクが撮影を、「ベルリン物語」のヴェルナー・アイスブレナーが作曲を担当。主演者は新人のパウル・ダールケ、リヒャルト・ホイスレル、ウィニー・マルクス、それに「母の瞳」のケーテ・ドルシュで、ウド・レープチン、ワルター・フランク、パウル・ヘルビガー(「第三の男」)、ペーター・モスバッヘル(「双児のロッテ」)、カール・ハインツ・ペータース(「ほら男爵の冒険」)らが助演する。
一八一〇年代ナポレオン治下のフランス。ダッブという男を首領とする強盗団が、パリのフランス銀行へ送られる一千万法の金貸や宝石類の奪取を企んでいた。ダッブは実はロベール・ド・トロアソール(P・ダールケ)という貴族で、十年間ナポレオンのために戦って、得たものは不具になった片足だけであった。ロベールは襲撃に成功し、その金で愛妻シプリエヌ(W・マルクス)とともに国外で幸福な生活を送ろうと二枚の旅券も手に入れた。しかしシプリエヌはロベールの弟ピエール(R・ホイスレル)と恋仲にあり、ピエールにロベールの犯行を密告させた。ロベールは孤島の牢獄におくられ、五年目に脱獄を計って海を泳ぐうち、狙撃され、溺死したものと思われた。その頃ピエールはパリの警視総監に出世し、シプリエヌとの仲も変らなかった。ロベールの母トロアソール夫人(K・ドルシュ)は息子の恩赦を請願していたが、ロベールの生死は知れなかった。時しもフランス銀行に昔と同じ手口の強盗が入った。盗賊の一人は脱獄囚で足が不自由であることがわかった。一人の医師が誘拐され、殺された。警察は捜査をつづけ、ついに呉服商のタンブランの所が、ロベールの隠れ家であることをつきとめた。ピエールは自分の兄ロベールに逮捕状を書かねばならなかった。ピエールは彼を懸命に捜査させたが、ロベールはピエールを共犯者に仕組んで妨害した。たが母恋しさにトロアソール夫人の許をおとずれたロベールは、そこで遂に逮捕された。ピエールとシプリエヌは新生活に一歩をふみ出すことが出来た。
Robert
Pierre
Eugenie
Cyprienne
Tamboryn
Courbet
Dr. Bianchon
Madame Vauquet
Nanette
Levreuil
Viktor
Lapin
Martell
監督、脚色
原作
製作
撮影
美術
編集
録音
作曲
[c]キネマ旬報社