ハイデー・ポリトフ
Sylvie
マルセル・カルネとクロード・アキュルシの脚本を、「マンハッタンの哀愁」のマルセル・カルネが監督した青春もの。撮影はジャック・ロバンがあたっている。出演は、ハイデー・ポリトフ、クリスチャン・エイ、エリザベス・テシエなどの新人たちに、ローラン・ルザッフル。
シーズン・オフで人影も少なくなったカンヌのとある店で、若い娘シルビィ(H・ポリトフ)は、自称ルポ・ライターのアラン(C・エー)に出会った。同世代の若者だけに、二人はすぐに意気投合し、またシルビィがちょうどパリへ行く途中だったので、一緒にパリへ向った。途中、車が故障したが、アランのたくみな弁舌で、美しい公爵夫人の運転する車にのせてもらうことができた。パリについたアランはシルビィと再会することを誓って彼女と別れ、公爵夫人のあとをおい、若者のたまり場であるクラブへ、足をむけた。公爵夫人の夫は貿易を手広くやっており、アランには夫人に接近し、その会社に入れてもらおうという下心があった。ところが、二人の前に、別れたはずのシルビィがあらわれた。二人の女の間には暗黙の女の争いが展開された。戸惑うアランを強引にシルビィはつれだした。その夜二人は結ばれた。翌日アランは公爵夫人をたずねたが、すでにホテルをたったあとだった。こうしてアランとシルビィの生活がはじまったが、アランのその場かぎりの調子のいい性格にシルビィは次第に耐えきれなくなり、ついに一人故郷へ帰ってしまった。数ヵ月後、シルビィの前に睡眠薬の常用でやつれはてたアランがあらわれた。だが、シルビィはアランがいかに弁解しようとも彼一流の芝居だとして話を聞こうとはしなかった。しかし、アランは真剣だったのだ。彼は線路に身を横たえると列車の来るのをまった。やがて急行列車があらわれ、みるみるうちに近づいてきた。間一髪、シルビィはアランを助けおこすと、その胸に飛びついた。シルビィは、今こそアランを信じることができ、そして愛を確信した。アランは熱心に将来の生活設計を語り始めるのだった。
[c]キネマ旬報社