ルドルフ・クライン・ロッゲ
Dr. Mabuse
1922年度に於けるドイツ映画の最大傑作として名声をほしいままにした表現派的色彩が装飾等に所々表れる映画である。しかし決して表現派映画ではない。「ベルリン絵入新聞」に掲載せられたノルベルト・ジャック氏の小説をテア・フォン・ハルボウが脚色し、名監督として定評あるフリッツ・ラング氏が監督大成したものである。主役はルドルフ・クライン・ロッゲ氏。又「カラマーゾフ兄弟」「世界に鳴る女」「沙漠の掟」主演のベルンハルト・ゲツケ氏と「白痴(1921)」主演のアルフレッド・アベル氏、その他「復讐の血」「巌頭の懺悔」のアウド・エゲデ・ニッセン嬢、「アルゴール」「夜半の晩餐」のハンス・アダルベルト・シュレットウ氏も出演する。撮影は「朝から夜中まで」のカール・ホフマン氏。深刻、凄惨、波乱、催眠術、活劇、色々な事件が織り込まれた探偵劇ともいおうか。(無声、全二篇)
人間の生命と人間の運命を弄び人生の賭博を行う変装自在のマブゼ博士は、数多の手下を使って、贋造紙幣を造り、或いは株式市場を騒がせる等の犯罪を到る所で行っていた。博士は情婦のカラに銘じて、金満家の息子ハルを誘惑させる。しかるに此の時署長ドゥ・ウィットがハルの保護に現れて、何者とも知れぬ此の巨盗を捕らえんとしたが失敗。代わりにカラを捕える。怒ったマブゼは先ずハルを殺す。カラより己の名の洩れん事を恐れ、マブゼはカラを獄中で自殺せしめる。次にマブゼは博士としてトルスト伯爵夫人に近づく。マブゼは催眠術にて伯爵の心を狂わせ伯爵夫人を誘惑し、己の家に監禁する。精神科医に扮したマブゼは伯爵に種々の診察をして遂に発狂させ、伯爵は狂死してしまう。警察の圧迫が巖しくなった為、マブゼは最後の方法として催眠術師として公衆の前に表れ、ドゥ・ウィットを術に陥れる。併し、此の計画は間一髪のところ破れ、ついにマブゼの棲家は包囲せられるに至った。マブゼは一人下水道より紙幣贋造の隠家に逃れたが、遂に天命尽き果てる。さしもの彼も精神錯乱して、堆き紙幣の山に囲まれ、唯紙幣を一枚々々と数うるばかり。かつてはマブゼとして一世を驚倒せしめた巨漢の末路、心乱れて力無き眼は紙幣をそれからそれへと辿るのみであった。
Dr. Mabuse
De Witt Chief of the Police
Count Tolst
Cara Carozza the Dancer
Edgar Hull
Countess Dulcie Tolst
Spoerri
George
Pesch
Hawasch
Fifi
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