ヴェルナー・クラウス
The Man
ドイツ精神病学の泰斗フロイト博士の学説を骨子としてコリン・ロス氏とハンス・ノイマン氏が書卸した物語によって「嘆きの巷」と同じくG・W・パブスト氏が監督した学術的興味と探偵趣味とを盛った映画である。主役は「カリガリ博士」「タルチュフ」等出演のヴェルナー・クラウス氏が演じ、「戦く影」「真夏の夜の夢(1925)」出演のルート・ワイヤー嬢を始め、イルカ・グリュニング嬢、パウエル・パウロウ氏が助演している。無声。
健全な頭脳を持ち平和な家庭の主人公であった中年の化学者は、ある夜隣家に起った殺人事件が動機となって、次第に精神上に恐るべき変化を起し始めた。彼は美しい自分の妻に疑いを持ち出し、奇怪なる脅迫観念に襲われ、遂には、その苦痛に堪うる能はずして、我と我が生命を断とうとまでも決心するに至った。この時依頼をうけて、この化学者を診察した医師は、その病症を精神上の疾患と診断し、フロイト博士の有名な「心理解剖」の理論に従って研究をすすめた。その結果患者の心の中に巣食う潜在意識や、その他病源と見るべきもろもろの不可思議な観念の姿が剔出され、分析され、整理されて、化学者の病気は忽ち快復した。
The Man
The Wife
The Mother
The Cousin
The Doctor
The Assistant
The Maid
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