ハンネス・シュナイダー
Conrad
アーノルド・ファンクの作品としては今迄に公開されたものの内で一番古いものである。(無声)
コンラットは山を征服する望みに胸が満ち満ちていた。そのために彼は母と妻との事を忘れ勝ちであった。彼はある日どうしても自分が登攀出来なかった峰を征服しようとして力尽き墜落して命を落とした。それから幾年か年は過ぎて今はコンラットの遺児は父の志をついで立派な登山家となっていた。が、母親は息子にかつて父親が命を落とした峰だけは登攀する事を許さないでいた。けれども、息子の恋人が外国から来た二人の登山家がその峰を攀づるのを見て外国人に負けるのを口惜がり競走的に峰を攀じて中途に力尽き、その内に夜となり、その命の危難に瀕するのを知った時に、母親は息子に峰を攀ずるのを許した。外国から来た登山家は峰は征服し得たものの、山霊の復讐は、二人の命をその帰途に奪った。二人は断崖から墜落したのである。息子は首尾よく峰を征服し、更に恋人の救助に向かった。深夜となってから吹雪が襲い来て二人を閉じ込めた。朝となり雪がやんでから二人は雪崩にあったが、首尾よく恙なく地上に降り立つ事が出来た。
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