イェニー・ハッセルキスト
Luise von Wielkuhnen
「燃ゆる嫉妬」「かつら」出演のイェニー・ハッセルキスト嬢が主演する映画で、エリッヒ・ワシュネック氏が監督したもの。助演者は「ヴォルガ」「アスファルト」のハンス・アダルベルト・シュレットウ氏、「ムーラン・ルージュ」「美はしの人生」のオルガ・チェホーワ夫人、フリッツ・アルベルティ氏、ヒューバート・フォン・マイヤーリンク氏、カミラ・スピラ嬢、アルバート・シュタインリュック氏、ヴィルヘルム・ディーゲルマン氏、ジークフリート・アルノ氏等である。(無声)
欧州の二王国サンソニアとカルヴァニアとは戦火を交え、前者の敗北降伏に終って莫大な償金とルリタニア州とを割譲した。ルリタニアに拡大な領地を持つサンソニアの貴族ルイゼ・フォン・ヴィルキューネン伯爵未亡人は急いで鉄火に荒らされた領地に赴いた。それはツェレムスキーというカルヴァニアの将軍がルリタニア州の治安回復せざるに乗じて恣まに鎮撫使と称して暴民共を集めて掠奪を事としているからである。しかしルイゼが帰った時には既に遅く彼女の所領は暴徒に襲われて馬匹は奪われ雇人の一人は負傷した。彼女は怒ってツェレムノキーに退去を要求したが、暴将は却ってルイゼの美貌に心を動かして、ナージャと呼ぶ情婦の嫉妬も顧みず彼女をも己が自由にしようと企らんだ。かくて伯爵夫人の邸宅はツェレムスキーの宿舎に当てられた。サンソニア陸軍将校のルイゼの息子ハイノは母の身を気遣って国境を越えてやって来た。ツェレムスキーの暴状はカルヴァニア本国政府の知るところとなり、知事ラショフは鎮定の命をうけて派遣された。ツェレムスキーはラショフが軍隊を伴わず単身できたのを奇貨とし、其の命に服せずして知事を監禁同様に取扱った。ルイゼ未亡人は知事来ると聞いて喜んだが、その名を知るや驚いた。ラショフこそ彼女が若かりし頃の求婚者で、当時彼女は富と権勢とに憧れて彼の愛を裏切ったのであった。愛する女に裏切られて国外に去ったラショフが今彼女の前に現れたのだ。ルイゼは彼の復讐を予感した。石暴戻なツェレムスキーもやがて逃亡すべき時と悟り、出発に前立って大饗宴を開き、ルイゼと知事を出席させた。宴果てて後ツェレムスキーは副官に知事暗殺を命じ自らはルイゼの寝室を襲ったが、扉の前に身を護って立つハイノの為め手斧で惨殺された。物音に驚いてルイゼはハイノの許嫁マルレーネと共に出て来て此の様に驚き、取敢えず息子をサンソニアに逃がした。殺された筈の知事は姿を現してルイゼにハイノの所在を尋ねた。ルイゼは拳銃を擬して息子が国境を越えるまで知事を釘づけにした。二十分後ハイノは戻って来て母を豺狼の群の中に残しては置けないと言い、知事に殺人を告白した。ところが知事もまたツェレムスキー殺害の意図を持っていたのでハイノは罪を問われなかった。かくて知事とルイゼとは和解しハイノとマルレーネと共に二組の新夫婦が出来たのである。
Luise von Wielkuhnen
Her son
Tobias Raschoff
Ladislaus von Zelemsky
Nadja his sweetheart
Marlene
Duban
The Sailor
The Steward
The Inn-Keeper
The horse-dealer
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