ジョゼット・デイ
Lily
ドイツの脚色者として「アスファルト」等によってその名を知られているロルフ・E・ヴァンローの原作によりフランス映画界の古参たりまた腕利きたるジュリアン・デュヴィヴィエが脚色且つ監督した映画である。出演者は独仏両国の俳優達であって、即ちドイツ側からはヴォルフガンク・クライン、カール・ステパネック、フランス側からは「自由を我等に」のジェルメーヌ・オーセエ、ジョゼット・デエ、シャルル・レッジー、ジョルジュ・ブーランジェ。等が出演している。撮影は「制服の処女(1931)」と同じくライマール・クンツェである。
ベルリンの長距離電話局の技師エリックはパリの長距離電話局の交換手リリイと不図したことから話を始めて友達となる。二人は電話で話し合ってるうちに段々懐かしくなって到頭会って見たくなり、次の休暇にはエリックがパリへ行き、お互いに打合せた目じるしをたよりにリリイが停車場に迎えに出る手筈が決った。これを盗み聞いたのがエリックの隣席のマックスと、リリイの隣席のアンネットで、かねて二人の甘い囁きにクサらされていたので、此際敵討をしてやろうと決心する。でパリの停車場ではエリックに成りすましたマックスがリリイと会い、リリイに成りすましたアンネットとエリックとが落合う。マックスはパリ見物をした上リリイの唇までも失礼しようとしたが、電話のエリックと感じが違うので彼女は拒絶した。一方アンネットは良き鴨御参なれとエリックをインチキな場所に引き摺りまわして散々大散財させたのでエリックはペシャンコになってベルリンに逃げ帰った。このあとの電話が凄かった。エリックはリリイの悪口を並べ立てる、リリイも負けずにエリックを罵倒するという騒ぎ。この騒ぎが双方共に監督に見付かって、二人共解雇されて了う。数ヶ月後エリックはベルリン一流のホテル、アドロンの電話係になっている。そこへ新聞記者の秘書となったリリイが訪問記事を取りに来て、お互いに聞覚えのある声を聞いて、始めて本物同志の対面の場となった。エリックは事情を知るや、余りにも念の入ったマックスの悪事に大憤慨して、ダンスホールで会うやいきなりマックスを滅茶々々にノシて了って、漸く溜飲を下げた。
Lily
Annette
Erich
Max
Jacques
Karl
Fresident
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