マルタ・エゲルト
Maddalena
イタリアの生んだ名作曲家ヴィンチュンツォ・ベルリーニの百年祭記念として作られた映画で「未完成交響楽(1933)」「チャルダス姫」のマルタ・エゲルトとサンドロ・パルミエリとが主演、「未完成交響楽(1933)」「たそがれの維納」のワルター・ライシュの脚本によって、「南の哀愁」「プレジャンの舟唄」のカルミネ・ガローネが監督した。助演者はオペラ出身のブルーナ・ドラゴーニ、ランベルト・ピカソ、アキルレ・マエローニ、グアルディエロ・トゥミアティ、その他である。台詞はコルラード・アルヴァロが執筆、音楽はベルリーニの曲を「未完成交響楽(1933)」のウィリー・シュミット・ゲントナーが編曲・指揮し、キャメラには「未完成交響楽(1933)」「たそがれの維納」のフランツ・プラナーが「殿方は嘘吐き」のマッシモ・テルツァーノと協力して当たった。
ヴァイオリンの名手パガニーニが演奏会を開いた時のことだった。客席で若い男が冷たい微笑をしていた。だが、彼はパガニーニを笑ったのではなかった。パガニーニの天才に比べて己れの楽才の貧しさを哀れんだのであった。この若者をヴィンチェンツォ・ベルリーニといった。ナポリの音楽学校で学んでいるのであった。卒業してからベルリーニはナポリの長官の家に招待された。彼の演奏は人々から無関心に遇せられたが、長官の一粒種の令嬢マダレーナだけは彼の音楽に魂を奪われた。それからベルリーニは彼女の姿を画に描こうとしたが能はなかった。そこで彼は恋の歌を作ってマダレーナに捧げた。病身のマダレーナはこの歌の力により健康を回復した。そして彼の歌を唄い、彼と恋を語った。しかし女には頑固な父の定めた許婚者アントニオがいた。ベルリーニの為を思うマダレーナは許婚者の力を利用して彼をナポリの楽壇に名を成さしめ様とした。だが、ベルリーニには彼女の方が必要だった。そして彼女をシシリーに連れて行こうとしたが、芸術を育てるものは女性の愛である、というロッシニの言葉によりマダレーナはその行を断念した。失望したベルリーニはミラノに出て、そこで名を成した。だが、彼の心は失恋で悩んでいた。そしてその絶望から彼は愛の歌のないオペラ「ノルマ」を書いた。初演の夜、人々はそれを罵倒した。これを聞いて胸を痛めたのはマダレーナである。彼女は病める身を遠くローマにまで馬車を走らせ、昔ベルリーニが彼女に捧げた恋の歌を彼には秘密にソッとプリマ・ドンナに渡して、またナポリへ帰った。恋の歌の入った「ノルマ」は昨日に変わる成功を得、ベルリーニの名は一躍して高まった。しかし、この蔭で、マダレーナは恋人の面影を胸に描きつつ、淋しく病める身を死んで行った。
Maddalena
Vincenzo Bellini
Fumaroli
Ernesto Tosi
Gioacchino Rossini
Mercadant
Giuditta Pasta
Florino
Felice Romani
Niccolo Paganini
Rettore del Conservatorio
Maestro Zingarelli
Il Re
監督
脚本、原作
指揮、編曲
製作
撮影
撮影
音楽
台詞
[c]キネマ旬報社