ジャック・タチ
Francois the postman
「乙女の星」で幽霊の役を勤めたジャック・タチが原作、監督、主演する喜劇で、脚本はタチがアンリ・マルケ及び「奥様は唄に首ったけ」「バラ色の人生」のルネ・ウェレルと協力執筆し、撮影はジャック・メルカントン、装置は「バラ色の人生」のルネ・ムーラエールがそれぞれ担当し、音楽はジャン・ヤトヴが作曲した。助演者はギイ・ドコンブル、ポール・フランクール、メーン・ヴァレー、サンタ・レーリその他。フレッド・オラン製作の一九四八年作品である。
のどかなフランスの田舎の年に夏祭の日が来た。村の広場にはいろいろの見世物のテントや屋台が並び、メリー・ゴー・ラウンドの賑やかな音楽が子供達の心を浮々させる。この村を受持っている郵便屋フランソワは自転車に乗ってやって来る。配達するとどこの家でも一杯のブドー酒をお茶がわりにすすめる。世間話しの無駄口をかわして笑う習わしである。いよいよ祭の日、村人は野良を休んで広場に集る。村娘ジャネットはメリー・ゴー・ラウンドの若者の流し目に、恥ずかしそうに答える、子供達は木馬に乗ったり、菓子をほおばったり笑い興じる。フランソワは顔見知りの若者に袖を引かれ、テントがけの映画館の外からのぞき込む。スクリーンにはアメリカの郵便配達の有様が写っている。飛行機、自動車を動員して目覚しいスピード振りである。アメリカ式に少しは急いだらどうだいと若者にからかわれて、フランソワはその気になった。その日は祭の祝酒ですっかり酩酊したので、局にも帰らず貨車の中に一夜を明したが、目を覚すとフランソワはアメリカ式だと思い出し、疾風の如く自転車を走らせてスピード配達をしてのける。ところが余りアメリカ式に走りすぎて、川の中に真逆様にとび込みぬれ鼠になり、フランスの田舎ではアメリカ式よりお国振がよいと悟った。
Francois the postman
Roger
Marcel
Mistress
Jeannette
The Barber
The Cafe proprieter
The Old Chatterbox
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