レイモン・ルーロー
Georges Masse
「パリのランデブー」「犯罪の辻」の製作者だったアンドレ・ユヌベルが一九四八年に「狂気商売」を初監督してからの第二回作品で、脚本と台詞はミシェル・オーディアールが執筆し、撮影はマルセル・カデック、音楽はジャン・マリオンがそれぞれ担当している。主演は「偽れる装い」「最初の舞踏会」のレイモン・ルーロー、「美女と野獣」「女ざかり」のミラ・パレリー、「最初の舞踏会」「小さな河」「狂気商売」のガビ・シルヴィアの外、「海の牙」のヨー・デスト、アンリ・ナッシェ、ベルナール・ラジャリジュが助演している。
北アメリカに連合軍が上陸する数週間前。不穏の空気漲るタンジェールではスパイ活動がさかんに行われていた。中でもフランス諜報機関「元帥」のスパイ数名がロンドンに重大な秘密文書を送ろうとしている矢先、使者が暗殺された。輸出商人セガールは、新聞記者アンリ・ベルチエとナイト・クラブの女バルバラの力を借りて、どうしてもこの使命を敢行しようとしたが、ドイツ情報網の頻繁な活動に出合い妨害され、ロンドンとの連絡を切断されてしまう。バルバラは腕利きの新聞記者であり、評判の高い女蕩しであるジョルジュ・マッスの援助を欲求した。然し彼は酒と女に日を送り彼等の願いをききいれなかったが、友達のベルチェが暗殺されるや彼ものんきに遊んでいられず、烈しい闘争に身を投じた。セガールは彼を信用しなかったが、マッスはドイツ側に内通している男子を倒して立派に友の仇をとり、且使命を完全に遂行した。役目を終ったマッスは諜報の仕事から足を洗おうとしたが時遅く、バルバラがあげられ、彼もゲスタポのクロスターに捕まった。クロスターはセガールから暗号文書を盗めば自由にしてやるとマッスに迫った。マッスはクロスターの情婦で、彼を真剣に愛しているリリからバルバラの居所をつきとめ、彼女とクロスターが明朝出発する場所をもさぐった。そのためリリはゲスタポの犠牲となりマッスの名を呼びつつ死んでいった。暁のモロッコ海岸にゲスタポとの一騎打が行れ、ドイツの機密書類を盗む事が出来、奇智と度胸にとんだマッスこそ、セガール一派に無電で命令していた「元帥」なのだった。
Georges Masse
Lily
Barbara
P'tit Louis
Segard
Von Kloster
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