マイケル・レッドグレーヴ
Capt. Karel Hasek
「愛の海峡」と同じくマイケル・バルコンが製作した映画で、パトリック・カーワンが書きおろしたストーリーを、アンガス・マクフェイルがマーラグ収容所に捕虜生活をしていたガイ・モーガン中尉と協力して脚本を執筆し、かつて俳優だったバジル・ディアデン--「中途の家」「丑満時」の監督作品があり--が監督しダグラス・スローカムが撮影監督した。出演者は、目下ハリウッドにある「丑満時」「星への道」のマイケル・レドグレイヴを始め、彼の夫人で映画初出演のレイチェル・ケンプソン、同じく新人のジェーン・バーレット、マーヴィン・ジョンズ、ベイジル・ラドフォード、ゴードン・ジャクソン、ジャック・ウォーナー、ジミー・ハンリー、ガイ・ミドルトン、デレク・ボンド等で、マーラグ収容所にロケーションして撮影されたものである。
これは一九四〇年、フランスが戦敗れた時、捕虜となって収容所生活を送った人々とその人々を家庭に待っている祖国の親しい人達の生活を描く。ウェールス人の二等兵イヴァンスは、故郷の妻が産の床で死ぬるまでは幸福であった。生れた子が死ななかったのがせめてもの慰さめだ。カレル・ハゼック大尉はイギリス軍将校の服を着ているが、チェコスロヴァキアの将校で、反ナチ分子収容所を逃亡した男である。イギリス軍のミッチェル大尉の戦死体の軍服を頂だいして、身代りになりすましている。しかしゲシュタボにねらわれる身の心の安まるひと時もない。スコットランド人のレノックス中尉は、学校も中途で応召し、恋人とも別れて今は盲目となったので、婚約破棄の手紙を送る。ハアリー中尉は新妻カロラインと名残を惜しんで出征したのに、国もとからの便りは彼女が不実であるという。疑いとしっとに日も夜も彼は苦しまねばならぬのである。捕虜たちの指揮官はダルリムプル少佐であり、ホースフォール伍長は典型的下士である。マシュース二等兵は自由の日には女たちと遊べるぞと、それを楽しみに辛さをこらえている。赤十字の慰問品がとどいた時、彼等のとらわれた心も、祖国の親しい人たちに忘れられていないという喜びを痛切に感じたのである。しかし雨の日、寒い夜は、鉄條網に囲まれている気持が堪えきれぬものがある。ついに釈放の日が来た。しかしハゼックの名はリストになかった。事情を知っているマシュース二等兵は生命の危険を冒し、自分がカレル・ハゼックだと自首した。捕虜たちはイギリスに着いた。ハアリー中尉は妻カロラインと仲直りが出来た。ホースフォール伍長もロンドンで妻と再会した。イヴァンス二等兵は亡き妻の忘れ形見の娘の為に生き、働くという喜びを見出した。盲目のレノックスがなお愛している乙女と再会したとき、彼女は彼と別れないというのだった。ハゼックはミッチェルの妻シリアと顔を見合せた。彼女と収容所で文通しているうちに、彼女に愛を感じ出していた彼は、シリアが彼をあたたかく迎えてくれたのを感謝した。彼に新しい幸福と新しい生活が、彼女によってもらたられるのも程近いであろう。
Capt. Karel Hasek
Celia Mitchell
Pte. Evan
Major Ossy Dalrymple
Lieut. Lennox
Cpl. Horsfall
Pte. Matthews
Capt. Jim Grayson
Caroline Harley
Lieut. Harley
Capt. Thurston
Mrs. Evans
Mrs. Horsfall
Mrs. Lennox
監督
脚本
脚本
原作
指揮
製作
撮影
カメラ
音楽
美術、アソシエイト・プロデューサー
音楽演奏
[c]キネマ旬報社