パトリシア・ロック
Mary Lawson
「第七のヴェール」と同じくシドニー・ボックスが製作した映画で、L・A・G・ストロングの小説を、作者自ら、監督デイヴィッド・マクドナルド及びポール・ヴィンセント・キャーロルと協力して映画向きに改作し、「第七のヴェール」と同じくシドニーとミューリエルのボックス夫妻が脚本執筆、大戦記録映画「砂漠の勝利」を製作した、現在ボックスの契約監督たるマクドナルドが監督に当り「キャラバン」のスティーブン・デードが撮影を指揮した。出演俳優は「愛の海峡」「妖婦」のパトリシア・ロック、劇・映画に老巧の名高いウィル・ファイフ、ボックス発見の新人マクスウェル・リードを始め、「渦巻」のフィンレイ・カリー及びジョン・ローリー、「青の恐怖」のメグス・ジェンキンズ、ダンカン・マックレエ、アンドリュー・クロフォードらである。音楽はセドリック・ソープ、デーヴィー作曲、ミューア・マシーソン指揮でロンドン・シンフォニー・オーケストラが演奏している。なお大部分はスカイ島にロケして撮影された。
1900年のことである。スコットランドの西北ヘブリデス諸島のスカイ島であった話--僅かの耕地で働いているヘクター・マックレエ老人は、ジョンとファーガスの二人の息子と暮しながら、ウイスキイの密造をしている。女手がないので、スコットランド本島から、尼僧院で育った孤児メエリイ・ロースンに、手伝いに来てもらう。彼女が着いた日、マックレエの人々はきげんが良くなかった。それは酒密造のことを役人に密告した裏切者を、村人たちと一緒にリンチしたからだ。裏切者は両脇にコルクのうきを抱いて両手を縛られ、脚には重りの石を結ばれ、頭にニシンを結びつけられて、入江に浮べられると、丁度首から上だけ水上に出る。カモメはニシンを突つきに舞下って、彼の頭蓋骨を突き破るという残酷な処刑である。ヘクター老人はメエリイに、マクファーリッシュの一族と口を利いてもならぬと命令し、息子達は冷い眼で横にらみした。冷遇される淋しさにメエリイは、禁制を犯してマクファーリッシュ家のウイリーと友達になる。ある日ウイリーが無体の振舞をしようとした時、ファーガスは彼女を守って大喧嘩をして、父に叱られる。この喧嘩が原因で、長年の仇敵であった両家は、島のおきての力競べをして勝負をつけることとなる。双方男三人がボートを出し、根限り力限り漕ぎ続けるのである。島人総出で見まもる海上を、二隻のボートは漕ぎ回り、ついにマクファーリッシュは三人共ヘタ張った。マックレエ方は、ジョンは早くオールを離したが老人とファーガスがガン張って勝ち、敵に頭を下げさせた。然してこの為にヘクターは死の床に就いた。臨終の枕頭にジョンを招き、老人はファーガスとメエリイを結婚させて欲しいと述べたが、自らも彼女を恋しているジョンは、弟と彼女に対し、自分と結婚せよと父は遺言したと嘘をつく。然し彼を愛しないメエリイは拒絶したので、ジョンは好きでもないアンガシーナを嫁に迎えた。ウイリーはなおメエリイを追回し、それを見たジョンは弟に彼女を鞭うてを命じる。然し彼女を愛するファーガスは一鞭あてただけで愛撫する。ジョンは再びメエリイの肘鉄砲を食うと、弟に彼女の存在はマックレエ家に悪運をもたらすと言う。信じなかったファーガスも、ジョンが病気になると迷い出し、彼女をボートに乗せて漁に出る。夜霧の海は若い二人をのんで了った。ジョンが弟をだまして、二人を死なせたことは、誰知るまいと思いきや、村人の一人に立聞きされていた。ジョンはニシンを頭に乗せられ、リンチを受けねばならなかった。
Mary Lawson
Aeneas McGrath
Fergus Macrac
Hector Macrae
John Macrae
Dugald
Willie McFarish
Priest
Angus McFarish
Angusina
The Informer
George McFarish
Postman
監督、脚色
脚本
脚本、製作
原作、脚色
指揮
撮影
アソシエイト・プロデューサー
作曲
作曲
音楽演奏
脚色
[c]キネマ旬報社