モンパルナスの夜
モンパルナスの夜
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モンパルナスの夜

1933年公開
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ジュリアン・デュヴィヴィエが「にんじん」に先んじて監督した映画で、ジョルジュ・シムノン作の犯罪小説『男の頭』により、デュヴィヴィエ自らルイ・ドゥラプレ及びピエール・カルマンと協力して脚色し、「にんじん」「商船テナシチー」のアルマン・ティラールがエミール・ピエールと共同して撮影したもの。主なる出演俳優は「にんじん」「ゴルダー」のアリ・ボール、「吼えろ!ヴォルガ」「アジアの嵐」のインキジノフ、「沐浴」「居酒屋(1933)」のアレキサンダー・リニョオ、「バラライカ」「テレーズ・ラカン」のジナ・マネス、「居酒屋(1933)」のリーヌ・ノロ、「ゴルダー」のガストン・ジャッケ、「にんじん」のルイ・ゴーチエ、コメディー・フランセーズのエシューラン等で、流行歌手のダミア及びミッシアが特別出演。

ストーリー

フェリエールは怠惰な遊民だった。行きつけの酒場にまでも借金が嵩んでいるのだ。借金に苦しんでいる彼は不図、誰か俺の伯母のアンデルソン夫人を殺してくれたら十万フラン出すんだが、と独語した。そして酒場の給仕が拾って渡してくれた紙片に、「十万フランで承知した。夫人の所書と鍵と見取図をBR郵便局留置MV宛送れ」と読んだ時、フェリエールは電撃にあった心地がした、……ヴェルサイユのアンデルソン夫人邸、貧しげな、愚直な顔の男が手にした見取図を頼りに、階段を上って夫人の寝室に忍び込んだ。寝台に突き当たって手にぬるいものが触ったので驚いた男は、思わず壁のスイッチをひねる。寝床は血で汚れ、今転げ落ちた夫人は胸を刺されて死んでいる。仰天した男は血まみれの手で壁にもたれる、その時、奥の扉から、靴にボロ布を巻き付け手に皮手袋をはめた黄色い顔の男が現れる。最初の男はユルタン、第二の男はラデックというチェコスロヴァキアの留学生だった。愚かなユルタンは、安全な窃盗をするという口実でラデックに誘われて来たのだ。ラデックは見取図を受け取り、悪いようにはしないから何も言うな、と命じた。ユルタンは容疑者として捕縛された。メエグレ警部はユルタンの背後に狡智なる真犯人が隠れて居る事を察し、実地検証に行った帰途、故意にユルタンを逃がして、敏腕な刑事二名に跡を付けさせた。夜更けて、ユルタンは例のモンパルナスの酒場の外に現れた。急報に接した警部は客を装って酒場に張り込むと、一人残った客がある。病身らしい黄色い顔の青年--ラデックだ。警部は彼が真犯人だと解った。だが証拠が無い。数日後ラデックはフェリエールを訪れた。十万フランの報酬を受け取りに。が肺を病んで余命六ヶ月のラデックは十万フランよりも、フェリエールの情婦エドナを望んだ。フェリエールもエドナもそれを拒み得ない立場にある。つけられて居ることを知っているラデックは大胆にも警部と二人の刑事をフェリエール邸に招じ、更にカフェへ皆で豪遊に出かける。ラデックはフェリエールの嫉妬をしり目に、到頭エドナを連れ出して彼の部屋に引きずり込んだ。その時、警部の鋭い追求に嫉妬と悔恨に責められたフェリエールはピストル自殺してしまう。警部等はラデック逮捕にやって来る。衣類を破かれたエドナが跳出すのと入違いに来た一人の刑事をナイフで刺してラデックは往来に走り出た。六ヶ月の命であるが、灰色の生活であるが、彼は命が惜しくなったのだ。ひた走りに走った。が息切れのした彼は遂に乗合自動車の下敷きとなった。そして、駆け付けた警部に犯罪の告白をし、ユルタンの無罪を証言してラデックは死んだ。

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作品データ

原題
La Tete d'un Homme
製作年
1933年
製作国
フランス
配給
東和商事
初公開日
1933年
製作会社
ヴァンダル・エ・ドウラック


[c]キネマ旬報社