ジェシー・マシューズ
Harriet Green
イギリス劇界の名プロデューサーたるチャールス・B・コクランが上演した楽劇を映画化したもので、ロンドンのレヴュー界の花形で、イギリス映画界でも人気スターたるジェシー・マシューズが主演する。原作者は「ウォタルー街」「魔の家」等を脚色し、劇作家としても名あるベン・W・レヴィーが書いたもので、改作には俳優兼作者たるエムリン・ウィリアムズが当たり脚本はマージョリー・ガフニーが作製し、監督には「空襲と毒瓦欺」のヴィクター・サヴィルが当たった。撮影は「犯罪都市」「農園のレベッカ」のグレン・マクウィリアムスが担当し、舞踊振付はコクラン門下のバディー・ブラッドリーが任じた。助演者はイギリスの舞台及び映画界の名優たるソニー・ヘイル、「春来りなば」のベティ・バルフォア、喜歌劇出の新人バリー・マッケイ、アイヴァー・マクラレン、ベティ・シェール、ハートリー・パワーの面々。なお音楽は「メリイ・ウイドウ」「風来坊」の名チーム、リチャード・ロジャースとロレンツ・ハートが、イギリスの流行歌作者として名高いハリー・ウッズと共同して作詞作曲した。
一九〇九年末の或夜、ロンドン・チヴォリ劇場ではスター、ハリエット・グリーンの引退興業が行われた。その彼女が相思のステインス侯爵との婚約披露の前夜、突然失踪した。この秘密を知るものは彼女の衣裳掛かりのホウクス夫人だけだった。ホウクス夫人はハリエットの前夫を知っていた。彼は今度の婚約を聞いてハリエットの許へ金をねだりに来た。自分が侯爵と結婚すれば、ならず者の前夫に生涯おびやかされるであろうと考えたハリエットは恋も栄誉も捨てて失踪する決心を固めた。そして前夫との間に出来た一人の女の子をホウクス夫人にゆだねて自分はそのまま故郷南アフリカへ立ったのである。一九三四年のロンドン・アデルフィ劇場に一人の疲れ切った娘がコーラス・ガール志願に現れた。その娘は三十年前のハリエット・グリーンに生き写しだった。宣伝部長のトミー・トムソンは彼女がハリエット・グリーンの忘れ形見である事を知り、彼女をハリエット・グリーンとして再び舞台に立たせ様という名案を考え出した。謎の失踪せる名女優ハリエット・グリーン帰る、面も昔のままの美しさにて。これは宣伝価値百パーセントだった。ハリエット・グリーンの復活。即ち「永遠の緑」はロンドン中にセンセーションをまき起こした。しかし世の中が騒ぐにつけて娘のハリエットの廻りには様々な問題が起こった。第一にかつての母の恋人ステインス侯爵が訪れて再び結婚を申し込んで来、次にはならず者の前夫が彼女の偽りを見破り、密告するとおどした。しかし最も困った事は彼女とトムソンが恋し会っていることだった。彼女は次第に自分の偽りを心苦しく思い出してきた。遂に堪え切れなくなった彼女は第二回の出し物の初演の夜彼女は押しかけた観衆に真実を告白してしまった。しかし観衆は怒らなかった。人気者だったハリエットの娘を見出した事は彼等の喜びである。その上この若い娘はこんなにも美事に踊るではないか、彼女はやはりロンドン児の「永遠の緑」なのだ。母の衣を脱いだハリエット・グリーンは最早、母の名前を借りないでも立てる立派なスターに成長していたのであった。
Harriet Green
Leslie Penn
Maudie
Tommy Thompson
Marquis of Staines
Treadwell
Lord Shropshire
Mrs. Hawks
Marjorie Moor
監督
脚本
原作
撮影
音楽監督
美術
作曲、作詞
作曲、作詞
作曲、作詞
振り付け
台詞、翻訳
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