イルシーナ・シュテプニコワ
Marysa
「ながれ」のヨゼフ・ロヴェンスキーが監督したチェコスロヴァキア映画で、アロイセ及びウイレマのムルシュテイク兄弟作の小説を監督ロヴェンスキーが他二名と協力脚色したもの。主演はプラーグ国立劇場女優イルシーナ・シュテプニコワで「ながれ」のヤロスラフ・ヴォイタ、ウラジミール・ボルスキー、フラント・コヴァルシーク、ヘルミネ・ヴィトヴァ等が共演している。撮影はカレル・デークル、音楽は「ながれ」と同じくヨゼフ・ドベシュが作曲した。演奏はプラーグ・シムフォニー・オーケストラである。
スロヴァキアのとある村の出来事である。マリーシャの父親リザールは村一番の富農だったが、同時に吝嗇な守銭奴だった。父に似ず、マリーシャは素直な美しい清浄な処女だった。彼女と恋仲のフランチェックは貧しい村女の一人息子だった。強慾なリザールは娘とフランチェックの結婚を許す筈はない。裕福な粉屋のワヴラに嫁がせたかったのだ。ワヴラは四人の子の父である。マリーシャにとっては夫というよりも父ほどの年上である。マリーシャは此の結婚を拒むのに懸命だった。ワヴラは温良を装ってはいるが、最初の妻を打擲して死に致らしめた程の男であることをマリーシャは知っている。収穫の祭りの日、ワヴラはマリーシャの歓心を買おうとしたが、徒労に終わった。その夜マリーシャはフランチェックと会った。フランチェックは三年間入営せねばならぬ。マリーシャの悲痛は大きかった。しかもリザールは入営の日に別れを惜しむ事さえ娘に許さなかった。フランチェックが入営するとマリーシャはワヴラとの結婚を強いられた。拒み続けた彼女は家出さえ決心したが、叔母が誠しやかにフランチェックのふしだらを聞かせて思い止まらせた。そして結婚式だ。結婚式は済んだが、ワヴラはマリーシャの愛を得る事は出来なかった。二年過ぎて、フランチェックは予定より早く退営して村に帰った。二人の恋はまた燃えた。フランチェックは一緒に町へ逃げようといったがマリーシャは不貞の女よ、と罵られたくなかった。しかしワヴラの嫉妬は気狂い染みて来た。逃げようと思い決めたマリーシャは、たまり兼ねて鼠に使う毒を夫のコーヒーに入れた。彼女が自分の誤ちを悟った時はもう遅かった。ワヴラの死は村中に拡まっていた。馳けつけたフランチェックを見てマリーシャは涙のたまった眼で笑っていた。それから、幾年か経った。フランチェックは待っている、恋の満たされる日を。
Marysa
Vavra
Franz
Lizal
Frau Lizal
Rozara
Frau Strouhalka
Frau Horacka
Grossmutter
監督、脚色
原作
原作
撮影
音楽
美術
美術
美術
作曲
脚色
脚色
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