ダーク・ボガード
Daddy
初秋の南仏を舞台に、死期の迫った父と最後の日々を共にする娘の愛情あふれる交歓を描く人間ドラマ。製作はイヴォン・クレン、監督は「田舎の日曜日」のベルトラン・タヴェルニエ、タヴェルニエ夫人のコロ・タヴェルニエ・オヘイガンが脚本を担当、撮影はドニ・ルノワール、音楽はアントワーヌ・デュアメル。出演はダーク・ボガード、ジェーン・バーキンほか。
夫と離婚して一人パリに住むシナリオ・ライターのカロリーヌ(ジェーン・バーキWン)は母ミッシュ(オデット・ロール)からの突然の電話で、ダディ(ダーク・ボガード)が心臓発作で入院したという知らせを受け、あわてて病院に駆けつけるがそれほど病状は重くないらしく、自宅療養が許される。若い頃ダディは世界各国を飛び廻っていて孤独な少女時代を過ごしたカロリーヌは、初めて訪れた父娘水いらずの時間に喜びをかみしめるが、神経質で狂信的なキリスト教徒のママは、ぶっきら棒で夢想的なダディとソリがあわず、なおかつ離婚歴のある娘が急に帰ってきて父とベタベタしだしたのも気に入らないらしく、事あるごとに衝突を繰り返す。そんなある日カロリーヌは看護婦からダディの命があと数ヶ月しかもたないことを聞いてしまう。翌日、カロリーヌはダディと共にカンヌに出掛け、ダディはママは冷たい態度を装っているが本当は判っているんだと娘に教える。しかしそれが最後の楽しい時間になった。どうしても帰らねばならなくなったカロリーヌはパリに着いて数日後、ダディの死を知る。悲しみと切ない想い出を胸に彼女は夜明けのパリの街をあてどもなく歩き続ける。
[c]キネマ旬報社