アン・ソンギ
パンチョク
高度成長下にあるビジネスマンの栄光と挫折を描いた作品。製作黄奇性、監督・脚本は張善宇、撮影は劉永吉、音楽は李鐘九が担当。出演は安聖基、李慧暎ほか。
大手化学調味料会社有美社の宣伝マン、パンチョク(安聖基)は「成功した者だけが自由だ」という言葉を信じて激烈な競争社会を生き抜いている。カフェー〈成功時代〉のマダム、ソビ(李慧暎)と愛人関係を結び、彼女を産業スパイとして利用することでライバル社を蹴落とした彼は入社2年たらずであるにもかかわらず企画部長の座を手にし、更には上司の勧めでソビとも手を切り重役にまで登りつめてゆく。しかし今度はライバル社がコンピューターを利用した調味料を開発したことで彼の栄光も失墜を迎える。その陰にソビの姿があることを知ったバンチョクは彼女とヨリを戻そうとするが、すげなく拒まれ僻地に飛ばされる。失地回復を狙うパンチョクはついにライバル社に対抗しうるアイデアを思いつき、ソウルに向かうが、待っていたのは冷たい反応だけだった。失意のパンチョクは自暴自棄になって車を走らせ、事故に遭い、壮絶な最後を遂げた。
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