ジャン=ルイ・トランティニャン
Holm
核酸性雨降り注ぐ近未来世界を舞台とした、フレンチ・コミックスの第一人者、エンキ・ビラルの監督処女作。脚本はビラルとピエール・クリスティンの共同、撮影はフィリップ・ウェルト、音楽はフィリップ・エデルとアルノー・ドゥボが担当。出演はジャン・ルイ・トランティニャン、キャロル・ブーケほか。
政府軍と反乱軍の戦いが続く世紀末。崩壊寸前の政府軍の姿を前に、大統領は地下の避難壕“バンカー・パレス・ホテル”に高官たちを招集した。アンドロイドの従業員たちに迎えられ、ディナーをとる高官たちの中には大統領の側近で実業家のオルム(ジャン・ルイ・トランティニャン)の姿もあった。ところがその場には反乱軍の女スパイ、クララ(キャロル・ブーケ)、さらには高官に変装したもう一人のスパイまで潜入していた。おまけに彼はクララのかつての恋人という因縁つき。高官たちは閉ざされた空間の中でしだいに誰が敵なのかを見失って混乱に陥っていくが、肝心の大統領の姿はまだ現れなかった。さらには絶対安全のバンカー・パレスの壁まで崩れ始め、殺し合いをする高官たちの中で一人生き残って脱出することのできたクララは地上でオルムに再会するが、そこにはオルムと同じ顔をしたアンドロイドの姿もあった。どうやら地上の世界はアンドロイドたちによって占拠されてしまったらしい。反政府のはずだったアリスは大統領と組んで彼らと戦い始めるのだった。
[c]キネマ旬報社