ジェームズ・ドネリー
Paul
性の解放に伴なう多彩なグループ・セックスの形態の一つ、「夫婦交換」の実態を描く。製作はスタンリー・ロング、監督はデレク・フォード、脚本はスタンリー・ロングとデレク・フォード、撮影はマイク・フランシスとトレヴァー・ブルーカー、音楽はジョン・フィディが各々担当。出演は、ジェームズ・ドネリー、ヴァレリー・セント・ジョン、ラリー・テイラー、デニス・ハウソーン、ジョーン・ヘイワードなど。
エレン(V・ジョン)は裕福な家庭の主婦である。事業家として成功している夫と子供たち。恵まれた階級の典型的な妻である。ある日帰宅したポール(J・ドネリー)から友人のレオナード(L・テイラー)と妻のジーン(J・ヘイワード)を夕食に招待すると言われ、さらに今夜、夫婦交換パーティを開くということを聞かされて、困ってしまった。しかし、エレンとポールには性的不満が介在し・ジーンとレオナードも同様であった。その夜、夕食後のストリップ・ポーカーが済むと金髪のジーンは積極的にポールに誘いかけ、レオナードは当惑しているエレンの気分をほぐしながら、やがて二組は各々別室に入って行った。この夜の初体験はポール夫妻に新しい性の境地の味を覚えさせ、二人の性的関係は改善されていった。夫婦交換は総ての階層に及び、さまざまな夫婦が、パーティに押しかけ、新しい知識を得ては性を享受していった。ビシネスの点からいえば、夫婦交換で最大の利益を得ているのはパーティを取材する雑誌である。未知のテクニックを求めて多くの夫婦が争って買うからである。しかし夫婦交換は恐喝を受け易い条件を揃えている。そこで男女は眼のマスクをしてゲームを行なうが、それでも翌日、突如、脅迫電話がかかることがある。しかし味をしめた夫婦は、恐喝など意に介せず、更に密度の濃いパーティへとエスカレートしていってしまう。そんなパーティでも、突然、感情を爆発させて、夫婦交換の野獣性を指摘して演説をぶち、敢えて離婚覚悟でゲームを嫌悪する女性も中にはいる。
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