ティム・ナゥ
June
それぞれ配偶者のいる男と女が同居生活を送ることになって生まれる恋の行方を描いた都会派コメディ。主人公のサムを演じるのは、「トップ・レディ」の監督で知られ、「テラコッタ・ウォリア/秦俑」のプロデューサーとしても活躍する才人カム・コクリョン、サムと恋に落ちるヒロインに台湾出身の美人女優ティム・ナゥ。それぞれの配偶者役に、「傾城之恋」のコラ・ミャオと、「夜明けのスローボート」「最後勝利」など、シリアスからコメデイまで幅広くこなす個性派男優のエリック・ツァンがふんしている。監督は、アン・ホイ、メイベル・チャンと並んで香港映画界をリードする女性監督のクララ・ロー。のちに林海象プロデュースの「アジアン・ビート」シリーズの香港篇「オータム・ムーン」でロカルノ映画祭グランプリを受賞した彼女の、監督デビュー作にあたる。主題歌を「男たちの挽歌」「欲望の翼」「さらば、わが愛 覇王別姫」などで知られる香港きってのスーパー・スター、レスリー・チョンが歌っているのも話題のひとつ。
妻子をカナダに移住させた投資アドバイザーのサム(カム・コクリョン)は、友人の紹介でジューン(ティム・ナゥ)のアパートの一室に間借りする。ジューンの夫(エリック・ツァン)も妻を置いて、一足先にカナダに移住していた。サムは、同僚たちからすでに移民したと思われており、社内に身の置き場がないことを知って愕然となり、ふとしたことから会社を辞めてしまった。一方、同居生活も最初はギクシャクしていたサムとジューンだったが、サムの失業、冷たい夫に対するジューンの不安などを語り合ううち、いつしかふたりは愛し合うようになった。クリスマスの日、それぞれの妻と夫がカナダから駆け付け、4人で会食。サムの妻(コラ・ミャオ)にふたりの関係がバレてしまい、激昂したサムの妻は離婚を宣言してカナダへ戻った。傷心のサムはジューンの家を出た。そして一年後、離婚したジューンは妻子と別れて音楽家となったサムと街で再会するのだった。
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