リシャール・アンコニナ
Le_Flic
一人の少年が30分間にわたって刑事を人質に取ったという実話に関心を寄せたジャック・ドワイヨン監督が、それも基に構想した孤独な非行少年と刑事と少年の姉との物語。90年ルイ・デリュック賞、フランス映画大賞、91年ベルリン国際映画祭国際批評家連盟賞ほかを受賞している。
離婚した母親と暮らすマルク(ジェラルド・トマサン)は、一本の電話から死んだと聞かされていた姉ナタリー(クロチルド・クロー)がそう遠くない町に住んでいることを知った。姉に会う資金を作るためピストルを手に薬局を襲った彼は、しかし直後顔見知りの刑事ジェラール(リシャール・アンコニナ)と出くわし、図らずも刑事を人質に姉の住む町へと向かう。ところがいざ再会した姉は、突然の出来事に驚きながら初めのうち弟を追い返そうとする。が、やがて彼女は刑事に弟の罪を軽くするように頼むようになり、かくて少年、少年に付き添う姉、刑事の三人での帰路は、姉と弟という枠組みすらなかった二人が肉親の情を手繰り寄せ、また刑事はそんな姉弟に情を移していく。町に着くと、マルクはジェラールにお金を借りて薬局に返しにいく。そして、その翌朝、マルクは学校へと向かう。姉と同じ父親のファミリーネームで再登録してほしいというマルクの願いは冷たく拒絶される。ジェラールの車で警察に向かいながら、マルクは小さく「仕事を見つけて、里親に出されている妹と、姉貴と三人で暮らしたいんだ」と、呟いた。
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