チア・リン
三毛(サンマオ)
毛が3本しかない少年兵・三毛の活躍を描く風刺コメディ。「菊豆」ほか数々の中国映画のパロディ・シーンも楽しめる作品。監督・脚本は『紅象』(田壮壮と共同監督)の張建亜で、これまでの作品でブラック・ユーモア的な風刺喜劇を追い求めていたが、なかなか観客動員に結びつかず、少年時代に愛読した漫画『三毛』の映画化を企画した。原作の張楽平は映画完成目前に死去し、本作の冒頭には“「三毛の父」に捧げる”とクレジットが入る。撮影は黄保華、音楽は藩国醍が担当。出演は、新人だが本作公開後は中国一の人気者になった賈林、「孔家の人々」の魏宗万ほか。
1937年の上海。第二次上海事変が勃発し、日本と中国が戦争を交えることとな_る。浮浪児の三毛(賈林)もひょんなことから軍隊に入ることになる。厳しい訓練を経て、実戦に配置されると、塹壕掘りと陣地構築ばかりだったが、老鬼(魏宗万)という助っ人とも知りあう。戦闘が始まり、決死隊に入った三毛は牛の角に手榴弾をつけ、尻尾に爆竹を縛り付けて驚いた牛を暴走させて、爆発するという作戦を立てる。しかし、牛は日本軍の腹の中に収まることになり失敗。次にたらふく食べて酔っぱらった日本兵の武器を奪い、捕虜にすることに成功。これで蒋介石委員長(孫飛虎)自らお褒めに与る栄誉に浴した。師団長のもとへ配属された三毛は、師団長の個人的な世話ばかりの雑役夫のような仕事につく。ところが、師団長が職務怠慢で引責自決。再び第一線の部隊に配属され、空挺部隊で、敵の背後に降下する任務となる。落下傘で降下した三毛は、何とか日本兵を倒し、敵の背後に回ることに成功する。だが、肝心の主力部隊が来ない。実は作戦は継続審議になってしまったのだ。ついに8年が経ち、45年9月。日本軍は全面降伏をした。三毛はようやく復員するが、彼の前に立ちはだかるのは都市と農村の荒廃した姿だった。
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