ロマーヌ・ボーランジェ
Mina_Tannenbaum
新人監督マルティーヌ・デュゴウソンが「野性の夜に」、「伴奏者」(92年セザール新人賞を受賞)のロマーヌ・ボーランジェと、「愛されすぎて」、Van Goch(91年セザール新人賞を受賞)のエルザ・ジルベルスタンを起用して、パリで暮らすユダヤ人少女の生活をJ・ドゥミやF・トリュフォーを時に思わせる、多様な手法で描く。デュゴウソンは既に前作でベルフォール映画祭でグランプリを受賞しており、この作品でもフランス・シナリオ大賞を製作前に受賞していた。映画は二人の少女を通して70年代から90年代までの時代相を見据えつつ、セルジュ・ゲンズブールやダリダの音楽を背景に、画家とジャーナリストという異なる職業と性格を対比させながら、物語を語っている。製作・脚本もデュゴウソン、撮影はドミニク・シャピュイ、音楽はピーター・シャーズが担当。他に「王妃マルゴ」のジャン・フィリップ・エコフェ、監督ベルトラン・タヴェルニエの息子ニルス・タヴェルニエ(デビュー作)などが脇を固めている。
ある日、同じ病院で生まれたミナ(ロマーヌ・ボーランジェ)とエテル(エルザ・ジルベルスタン)は、あるきっかけで友達になり、パーティにも一緒に行く仲だが、コンプレックスも持っており、自分たちが少しも魅力を持たず、だれの気も魅かない気がすることに悩んでいる。しかしミナは将来、画家として暮らしを立てて行きたいと考えており、一方でエテルはジャーナリストを目指している。そのうち2人は、それぞれ2人の男性(ステファン・スリマ、ニルス・タヴェルニエ)と知り合いになるが、ミナとエテルの関係もそれをきっかけに思わしくなくなる。2人は、それぞれが外に目を向けることで、自分たちの居場所を分け隔てて行くのである。そして数年後、二人は今は別々に自分の生活を送っている。ミナは既に画家として生活しているが、時には贋作も手掛けなければならず、また恋人(エリック・デフォス)とも上手く行っていない。一方、エテルはジャーナリストとして周囲の人たちから、からかわれながらも活動し、また結婚にまでこぎつける。ミナはエテルと再び時間を過ごしたいと思うが、エテルはなかなか時間も空かず、自分の生活にかまけている。自分からエテルが何もかも奪ったとミナは一度は錯覚するが、結局すれ違いで連絡をつけることが出きず、自殺する。後にはミナが小さいころに描いた絵とひとりの少女が、カメラの前で、消えて行く照明とともに暗闇に取り残される。
Mina_Tannenbaum
Ethel_Benegui
Jacques_Dana
Francois
Didier
Serge
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