チャッチャイ・プレーンパーニット
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タイ映画界きってのヒット・メーカーと言われているチュート・ソンスィーが撮った作品。彼は、近代化する以前のタイにこだわり続けている監督で、これまでの映画の中でも“伝統をおろそかにするな”というメッセージを盛り込んできた。本作は、女子大生が現在と百年前との世界を往来するうちに前世で生きることを選ぶという設定で、チュート的思想が伺える一編となっている。
将軍の息子、ライワット(パコーン・ポーンピスット)に求婚されている某英国大使館の娘のマニー・チャン(チャンチラー・チューチェーン)は、ある日、骨董店で一九世紀ラーマ五世時代の鏡を見つける。気に入ってさっそく購入し、自室に置く。すると、鏡を通じて一九世紀の外交官、テープ(チャッチャイ・プレーンパーニット)の部屋に行き来できるようになるのであった。過去と現在をさまよううちに、メニーはいつしかテープとの恋に落ちていく。友人の祖母が持っていた一九世紀の写真に、テープとその妻(メニーにそっくりの女性)の姿をみとめたメニーは、テープと自分が前世で結婚していたことを確信する。メニーの話に半信半疑だった友人たちも彼女の部屋に泊まり、テープの部屋へ行くメニーを見て、それが事実であることを知る。メニーは次第にテープのもとで時間を過ごすことが多くなり、テープの母に見つかってしまう。一方、求婚をしていたライワットは話を聞いて、鏡を割ろうとするが、メニーに必死に止められる。彼女はテープが自分の永遠の夫であることを信じていた。テープの母の許しを得、二人はめでたく結婚する。しかし、鏡は通過するたびにひび割れて行き、とうとうあと一度で使えなくなるときがきた。メニーは一九世紀で生きて行くことを決心し、現世の人々に別れを告げる。
監督
脚本
原作
製作
撮影
音楽
美術
字幕
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