アレクセイ・バターロフ
Gusev
愛と友情と仕事で結ばれた男女三人の物語を、一年のうちの九日に絞って綴った作品。現代科学と文明の最先端、人類の生と死という永遠の哲学的な課題に直面する原子物理学をテーマに、一九六二年カルロヴィ・バリ国際映画祭グランプリ、六二年チェコスロバキア国際労働者映画祭グランプリ、六二年ポーランド映画批評家による優秀外国映画賞、六二年サンフランシスコ国際映画祭名誉賞、六五年メルボルン国際映画祭名誉賞などを受賞した、ミハイル・ロンム監督の代表作。彼は、エイゼンシュテイン、ドウジェンコ、プドフキンらに続く、“ソビエト映画の第二世代”の一人でもあるが、同時にT・アブラーゼ、G・チュフライ、G・ダネーリア、G・パンフィーロフ、R・チヘイゼ、A・タルコフスキー、A・ミハイルコフ・コンチャロフスキー、A・ミッタ、N・ミハルコフ、S・ソロヴィヨフなどの逸材を育ててきた人物でもある。
シベリアの地方都市にある原子力研究所で、高名な物理学者のシンツォフ教授(ニコライ・プロートニコフ)とそのグループは、重大な実験に取り掛かっていた。しかし実験は失敗し、研究者たちは致死量の放射能を浴びてしまうのだった。医者はグループの一人であるグーセフ(アレクセイ・バターロフ)に、再び微量でも放射能を浴びれば死の危険性があると告げた。シンツォフ亡き後、グーセフはグループを率いて実験を指揮した。モスクワに着いたある日のこと、グーセフは恋人のリョーリャ(タチアナ・ラヴロワ)、友人のクリコフ(インノケンティ・スモクトゥノフスキー)とともに市内のレストランにいた。三人はともに物理学者で旧知の仲だった。リョーリャは仕事熱心なグーセフとの交際に疲れ切っていて、はつらつとしたクリコフとの結婚を望んでいたが、結局はグーセフとの結婚を決意する。研究所の側に新居を構えたグーセフは、実験に没頭し、何度か失敗を繰り返した後、中性子の誕生に成功するが、またしても放射能を浴びてしまう。発病した夫の姿にリョーリャは心を痛めるが、グーセフの実験はクリコフが受け継ぐことになった。グーセフは、自分の体を実験台に、最新の治療を試みるようクリコフに頼んだ。手術前夜、グーセフを見舞ったクリコフは、グーセフが医学の歴史に大きな功績を残したと告げる。グーセフは病院からリョーリャとクリコフに手紙を送った。そこには手をたずさえて歩む二人の男と一人の女の絵が描いてあった。
Gusev
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