イポリット・ジラルド
Barjo
愛すべき風変わりな青年バルジョーを取り巻く五人の男女が織りなす、世紀末の性と愛の物語をユーモラスにつづった一編。カルトSF作家フィリップ・K・ディックの小説「戦争が終わり、世界の終わりが始まった」を、「バクステール」(V)のジェローム・ボワヴァン監督が映画化したもので、脚本は監督と「死への逃避行」のジャック・オーディアール。撮影は「浴室」のジャン・クロード・ラリュ、音楽はヨーグ・ル・バールが担当。主演は「愛さずにいられない」のイポリット・ジラルド。共演は「めぐり逢う朝」のアンヌ・ブロシェ、「タンゴ」のリシャール・ボーランジェなど。
バルジョー(イポリット・ジラルド)は少年時代から好奇心旺盛で、やることなすこと人騒がせで社会性ゼロだが、心優しき男。彼は双子の姉ファンファン(アンヌ・ブロシェ)に、母親の胎内にいたころから恋している。ファンファンはアルミ工場の経営者シャルル(リシャール・ボーランジェ)と結婚し、今では二人の子持ちである。ある日、バルジョーの飼い猫が回線をかじって部屋が火事になり、彼は姉夫婦の家に居候として転がり込む。ファンファンは今の生活に欲求不満らしく、知り合ったミシェル(ルノー・ダネール)とグェン(ナタリー・ブトゥフー)の夫婦に興味しんしんで、夫のミシェルとお近づきになりたいらしい。仕事しか能がないシャルルは妻の気をひこうと、わざと車をぶつけて二人を家に連れてくる。そのうえ、シャルルは心臓が弱っているのにバドミントンをして入院するはめに。夫のいない間に、ファンファンとミシェルは急速に接近していった。ある時、図書館で風変わりな女エルムラン(コンスエロ・デ・ハヴィランド)に声をかけられたバルジョーは、霊能者の集会に出かけて、世界の終わりの日が近いことを知る。その日は四月二十三日。ついにその日がやって来た。子連れでデートを楽しむファンファンを追ってシャルルは病院を抜け出し、猟銃を手に迫る。だが、発作が起こってシャルルはあの世行き。本当に愛していた夫の死にファンファンは悲しみにくれ、遺体にすがって泣く。いよいよ終末だ。全てが滅び、ファンファンと子宮の中にいたころに戻されると期待するバルジョーの前にシャルルの霊が現れ、「世界の終わりなんてたわごとさ。この世は回りつづける。それより姉をしっかりと抱いて、なぐさめてやれ」と声援を送る。バルジョーはおずおずと、しかし、しっかりとファンファンを抱きしめるのだった。
Barjo
Fanfan
Charles
Madame_Hermelin
Michel
Gwen
Garde-Malade
Captain_Cosmo
監督、脚本
脚本
原作
製作
撮影
音楽
美術
編集
衣装デザイン
録音
[c]キネマ旬報社