ジュリア・オーモンド
The_Daughter
バロック最盛期の一七世紀イタリアを舞台に、ルネサンス時代の名家・メディチ家の末裔が、目前で演じられる宗教劇の舞台に乱入し、虚構(演劇)と現実(観客席)の間を往復するさまをつづった作品。監督・脚本は「プロスペローの本」のピーター・グリーナウェイ。製作は「ルーバ」のキース・カサンダー。撮影はグリーナウェイとは「ZOO」以来の全作品を手がけているサッシャ・ヴィエルニー。音楽監修はダニエル・ロイスが務め、ヘンリー・パーセル、ジローラモ・フレスコバルディなど、当時の作曲家による既成曲が使用されている。主演は「ヤング・シャーロック ピラミッドの謎」のジョナサン・レイシー。共演は「嵐が丘(1992)」のレイフ・ファインズ、「シャイニング」のフィリップ・ストーン、ジュリア・オーモンドら。
一六五九年、イタリアのとある町のバロック式の大劇場で「ベイビー・オブ・マコン」と題する芝居が今まさに幕を開けた。後年フィレンツェ大公となる一七歳のコシモ・デ・メディチ三世(ジョナサン・レイシー)の一行も最前列に陣取っている。芝居はこんな内容だった。世の中が飢餓に苦しむ時代に、ある一人のグロテスクな妊婦が怪物をはらんでいると予言される。だが、生まれてきたのは五体満足な美しい男の子だった。人々は奇跡の子としてあがめる。この子を利用して金儲けをしようと企む赤子の姉は、自分がこの子を生んだと言いだす。赤子はキリストの再来で、自分は処女懐胎したマリアだというのだ。彼女の主張は教会の逆鱗にふれ、対立はエスカレートしていく・・・。芝居が進むにつれて、役者と役者が演じる役との区別、観客と劇中の群衆の区別がはっきりしなくなっていく。観客のはずのコシモは舞台に上がり、彼が立ち会った劇中の出産シーンでは本物の赤子が産み落とされてしまう。コシモは娘の後をついて歩き、いつしか劇中の人物との境界があいまいになっていった。赤子は奇跡を起こし、娘は奇跡の子供の母親にふさわしくないと宣告され、赤子は教会が直接保護しはじめるとこれまで以上に金儲けに利用される。復讐に燃え赤子を殺した娘はコスモの提案で、市民軍の男たち(=芝居の観客たち)によって処女を奪われて死ぬ。赤子の葬儀がコシモの立会いで行われた。教会だけに奇跡の恩恵を受けさせてはならじと、町の人々は赤子の屍の最後の一片までをもバラバラにしていく。罪の報いとして、町に再び飢餓と不妊の災禍が訪れた。
The_Daughter
The_Bishop's Son
The Bishop
Cosimo_Medici
The_Father Confessor
The lst_Midwife
The 2nd Midwife
The 3rd Midwife
監督、脚本
製作
製作総指揮
撮影
美術
美術
編集
衣装デザイン
音楽監修
字幕
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